2014年1月13日月曜日

新約聖書原典「ヨハネの手紙第一」2章の翻訳(私訳)

ヨハネの手紙  

2章


1.わたしの子供たちよ、わたしがこれらのことをあなたがたに書いているのは、あなたがたが罪を犯さないようになるためです。またもし誰かが罪を犯すなら、わたしたちには御父のそばに仲保者であられる義なるイエス・キリストがおられます。2.この方こそわたしたちの罪のための、いや、わたしたちの為ばかりでなく、全世界の罪の為の、贖いの犠牲なのです。
3.わたしたちが神の戒めを守るならば、そのことによってわたしたちが神を知っていることを知るのです。4.「神を知っている」と言う者が、神の戒めを守らないなら、その人は偽り者であって、その人の内には真理はありません。5.しかし神の言葉を守るなら、その人の内に神の愛がまさしく完成されているのであり、それによってわたしたちが神の内にいることが分かります。6.「神の内にとどまっている」と言う者は、イエスが歩まれたようにその人も同じように歩まねばなりません。
7.愛する者たちよ、わたしはあなたがたに新しい戒めを書いているのではなく、初めからあなたがたが持っていた昔からの戒めを書いているのです。この昔からの戒めとは、あなたがたがすでに聞いた言葉です。8.わたしはもう一度、新しい戒めをあなたがたに書いています。その戒めはイエスにとっても、あなたがたにとっても真実です。闇は過ぎ去り、真の光がすでに現われているからです。9.「光の内にいる」と言いながら、自分の兄弟を憎む者は、今もなお闇の内にいるのです。10.自分の兄弟を愛する者は、光の内にとどまっていて、その人の内にはつまずきがありません。11.しかし、自分の兄弟を憎む者は、闇の中にいて闇の中を歩いているのであって、その人は自分がどこに行くのかが分からないのです。闇がその人の目を見えないようにしているからです。
12.子供たちよ、わたしがあなたがたに書いているのは、イエスの名によってあなたがたの罪が(すでに)赦されているからです。13.父たちよ、わたしがあなたがたに書いているのは、あなたがたが初めからおられる方を知っているからです。青年たちよ、わたしがあなたがたに書いているのは、あなたがたが悪に勝利しているからです。14.幼子たちよ、わたしがあなたがたに書いたのは、あなたがたが御父を知っているからです。父たちよ、わたしがあなたがたに書いたのは、あなたがたが初めからおられる方を知っているからです。青年たちよ、わたしがあなたがたに書いたのは、あなたがたが強くあって、神の言葉があなたがたの内にとどまり、悪に勝利しているからです。15.世と世にあるものを愛してはいけません。もし世を愛している者がいるなら、御父の愛はその人の内にはありません。16.世にあるものはすべて、肉の欲、目の欲、持ち物の誇りであって、それは御父から出たものではなく、世から出たものだからです。17.世も世の欲も滅び去ります。しかし、神の御旨を行う人は、永遠に生きながらえます。
18.幼子たちよ、今は終わりの時です。あなたがたが、「反キリストが現われる」と聞いていたように、今、多くの反キリストが現われています。それによって、今が終わりの時だと分かります。19.彼らはわたしたちの中から出て行きましたが、わたしたちの仲間ではなかったのです。わたしたちの仲間であったなら、わたしたちと一緒にとどまっていたはずです。しかし、(出て行ったのは)彼らが皆、わたしたちの仲間ではないことが、はっきりするためだったのです。20.あなたがたには聖なる方からの油注ぎがあるので、みな(真理を)知っています。21.わたしがあなたがたに書いたのは、真理を知らないからではなく、むしろあなたがたが真理を知っていて、すべての偽りは真理から出たものではないことを知っているからです。22.偽り者とは、「イエスはキリストではない」と拒む者でなくて、いったい誰でしょう。御父と御子を否定する者、これこそが反キリストなのです。23.誰でも御子を否定する者は御父を持たず、御子を告白する者は御父をも持つのです。24.あなたがたは初めから聞いたことを、あなたがたの内に宿していなさい。もし、初めから聞いたことをあなたがたの内に宿すなら、あなたがたは、御子と御父の内にとどまるようになります。25.これこそが、御子がわたしたちに約束された約束、すなわち永遠の命なのです。26.わたしはあなたがたを惑わそうとしている人々について、これらのことを書きました。27.あなたがたには御子から頂いた注ぎ油が、その内に宿っていますから、誰からも教えを受ける必要はありません。ただ御子からの注ぎ油が全てのことをあなたがたに教えます。それは真実であって、偽りではありません。注ぎ油があなたがたに教えたように、あなたがたは御子の内にとどまりなさい。

28.さあ、子供たちよ、御子の内にとどまりなさい。それは御子が現われても確信を持つことができ、御子の来臨のとき御前で恥入ることがないためです。29.あなたがたが「彼は義である」と知っているなら、義を行う者はすべて彼から生まれていることを知っているのです。


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「自然の中で聴く聖書」ヨハネの手紙Ⅰ・2章1~11節
「自然の中で聴く聖書」ヨハネの手紙Ⅰ・2章12~21節
「自然の中で聴く聖書」ヨハネの手紙Ⅰ・2章22~29節
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  ★「子供たちよ」で始まる2章は、全体が呼びかけ形式の手紙となっている。「子供たちよ」「父たちよ」「青年たちよ(若者たちよ)」というくくりは、この集会における各世代層を表すものか、信仰の度合い(?)をあらわす象徴的呼びかけなのかは不明。ただ、7節の「愛するものたちよ」という総称的呼びかけも現われることから、集会に属するあらゆる階層への呼びかけであろう。度々現われる「わたしは書いている γράφω」は1~13節では現在形で現れるが、14節以下ではすべて「書いた ἔγραψα 」(過去形)で現れているのは、前半はヨハネが事実これを直筆で書いているのであり、そのリアルな思いを、これを読むことになるであろう諸教会の会衆と共有したいとの気持からであろう。後半は 数か月後にはこの手紙が届くことになる諸教会にこの手紙を書いた理由と、事実だけを簡単に報告したのである。  

μένω (宿る、とどまる) 2章全体で10回使用されている。2章の重要なキーワードと言える。「宿る」「とどまる」と訳す。 




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