2014年7月18日金曜日

新約聖書原典「使徒たちの働き」2章の翻訳(私訳)



使徒たちの働き 

2章


1.五旬節の日となって、みんなの者がひとつとなって一緒にいると、2.突然、激しい風が吹いてくるような音が天から起こって、彼らが座っている家全体に響きわたった。3.すると、分かれた幾つもの舌が炎のように彼らに現れ、一人ひとりの上にとどまった。4.一同は聖霊に満たされ、御霊が彼らに語らせるままに、他国の言葉で語り始めた。
5.さて、エルサレムには、天下のあらゆる国々からの敬虔なユダヤ人たちが住んでいた。6.その音がした時、群衆が集まって来たが、彼らはみな当惑させられた。それは、それぞれが自分たちの方言で彼らが話しているのを聞いたからである。7.そこで彼らは驚き怪しんで言った。「見よ、この人たちは皆、ガリラヤの言葉を話す人たちではないか。8.それなのに、わたしたちがそれぞれ自分たちの生まれ故郷の方言で聞くとは、いったいどういうことだろう。9.(わたしたちの中には)パルティア、メディア、エラム、メソポタミアに住む者たち、ユダヤもいればカッパドキア、ポントとアジア、10.フリギアもいればパンフィリア、エジプトとキレネに近いリビア地方、ローマ人でここに滞在している者たちもいる。11.ユダヤ人たちもいれば(ユダヤ教への)改宗者たちもいる。クレタやアラビアからの者もいる。それなのに、わたしたちは神の大いなる業を、わたしたちの言葉で彼らが話すのを聞こうとは」。12.そこでみんなの者は驚き戸惑いながら互いに言い合った。「これはいったいどういうことなのか」。13.しかし他の者たちはあざ笑って、「彼らは新しいぶどう酒に酔っているのだ」と言っていた。
14.しかし、ペトロは十一人と共に立ち上がり、声を張り上げて彼らに語りかけた。
「ユダヤのかたがたと、エルサレムに住むすべてのかたがたよ、わたしの言葉に耳を傾け、このことを知っていただきたい。15.今は朝の九時なので、この人たちはあなたがたが考えているように、酒に酔っているのではなく、16.これは、預言者ヨエルによって言われていたことなのです。
17.神は言われる。終わりの時には、
『わたしの霊をすべての肉なる者の上に注ごう。
あなたがたの息子たちや娘たちは預言をし、
また、あなたがたの若者たちは幻を見、
あなたがたの老人たちは夢を見る。
18.またその時には、
わたしの僕たちと、はしためたちの上にも、
わたしの霊を注ごう。
そして彼らは預言をする。
19.上は天にて不思議を、
下は地にてしるしを与えよう。
血と火とかすんだ煙とがそれである。
20.太陽は暗くなり、
月は血に変わる。
主の大いなる輝かしい日が来る前に。
21.そして、主の名を呼び求める者は、
みな救われる。』
22.イスラエルのかたがた、これらの言葉を聞いていただきたい。神からあなたがたに示された方、ナザレのイエスを通して、神はあなたがたの間で力と不思議としるしを行われました。このことについては、あなたがたもご存じのとおりです。23.神が、決められた計画と予知とによって引き渡されたこの方を、あなたがたは、律法を持たない者たちの手によって十字架にかけて殺してしまったのです。24.この方を神は復活させ、死の苦しみから解き放たれました。なぜなら、この方が死に縛られていることなど、あり得ないからです。25.だからダヴィデはこの方について言いました。
『わたしは常に、主をわたしの前に見ていた。
主がわたしの右におられるので、
わたしは震えない。
26.それゆえ、わたしの心は楽しみ、
わたしの舌は喜びたたえる。
さらに、わたしの肉体も
希望を拠り所として住むであろう。
27.あなたはわたしの魂をハデスに捨ておかず、
あなたの聖者が滅び去るのを、
お許しにならないからである。
28.あなたはわたしに命の道を知らせ、
あなたの御前にいるわたしを、
喜びで満たしてくださる。』
29.兄弟方、族長ダヴィデについては、率直にあなたがたに話しましょう。彼は死んで葬られ、その墓は今日までわたしたちの間にあります。30.ダヴィデは預言者でしたから、自分の子孫の中から一人をその王位につかせると神が誓われたことを知っていました。31.キリストが復活されることについて、彼は予見して、『彼はハデスに捨て置かれることもなく、その肉体は朽ち果てることもない』と語りました。32.このイエスを神はよみがえらせたのです。わたしたちは皆、その方の証人です。33.それで彼は神の右に上げられ、約束された聖霊を御父から受けて、それを(わたしたちに)注いでくださったのです。あなたがたが見たり聞いたりしているのはその事なのです。34.ダヴィデは天に上ってはいませんが、彼自身はこう言っています。
『主はわたしの主に言われた。
わたしの右に座していなさい。
35.わたしがあなたの敵たちを、
あなたの足台に据えるときまで。』
36.だから、イスラエルのすべての家は、しかと心得なさい。あなたがたが十字架にかけたこのイエスを、神は主、またキリストとされたのです」。
37.これを聞いて、人々は深く心を騒がせ、ペトロと他の使徒たちに対して言った。「兄弟たち、わたしたちは何をすれば良いのでしょうか」。38.そこで、ペトロが彼らに言った。「悔い改めなさい。そして、自分たちの罪を赦していただけるように、あなたがた一人ひとりがイエス・キリストの名においてバプテスマを受けなさい。そうすれば、聖霊の賜物を受けるでしょう。39.この約束は、あなたがたと、あなたがたの子供たちに、また、遠くにいるすべての人々、わたしたちの神である主が招いておられる者たちなら誰にでも与えられているものなのです」。40.ペトロはこのほかにも多くの言葉をもって証しして、「この曲がった時代から救われよ」と言って彼らを力づけた。41.そこで人々は、ペトロの言葉を受け入れてバプテスマを受けた。そして、その日、三千人ほどの人々が(仲間に)加えられた。42.そして、彼らは絶えず使徒たちの教えに従い、交わりをなし、パンを裂き、祈りに専念していた。
43.すべての人の心に崇敬の念が生まれ、使徒たちによって多くの不思議と奇跡とが行われていた。44.信じる者たちは皆一つとなって、すべての物を共有にしていた。45.また持ち物や財産を売って、その代金を必要に応じてみんなに分け与えていた。46.毎日ひたすら思いを一つにして神殿に参列し、家ごとにパンを裂き、喜びとへりくだった心をもって共に食事にあずかっていた。47.彼らは神を賛美していたので、すべての人々に好意をもたれていた。こうして主は、救われる者たちを日々、仲間に加えて一つとしてくださったのである。


●「自然の中で聴く聖書」使徒たちの働き 2章





2014年7月6日日曜日

新約聖書原典「使徒たちの働き」1章の翻訳(私訳)


使徒たちの働き 


1章


1.テオフィロ様、わたしは先に、イエスが行い、また教え始められたすべてのことについて第一巻を著しました。2.それは、イエスが使徒たちを選び、聖霊をとおして彼らにお命じになり、(天に)上げられた日までのことでした。3.イエスは受難の後、数々の証拠によってご自分が生きていることを使徒たちに示され、四十日の間、彼らに現れて神の国のことについて話されました。4.そして、使徒たちと一緒にいるとき、彼らにこうお命じになりました。「エルサレムから離れないで、わたしから聞いた父の約束を待っていなさい。5.なぜなら、ヨハネは水でバプテスマを授けたが、あなたがたは間もなく聖霊によってバプテスマを授かるからである」。
6.そこで、使徒たちは集まって来て、イエスに尋ねてこう言った。「主よ、イスラエルに王国を復興なさるのは、この時なのですか」。7.しかし、イエスは彼らに言われた。「時や時期は、父がご自分の権威の内にお決めになることで、あなたがたの知ることではない。8.ただ、聖霊があなたがたの上に下るとき、あなたがたは力を受けて、エルサレムとユダヤとサマリアの全土、そして、地の果てに至るまで、わたしの証人となるだろう」。
9.こう言い終えると、彼らが見ているうちにイエスは上げられ、雲が彼らの目からイエスを取り去った。10.イエスが天に上って行かれるのを彼らが見つめていると、見よ、輝く衣を着た二人の人が、彼らの傍らに立って、11.言った。「ガリラヤの人たちよ、なぜ天を見つめて立っているのか。あなたがたから取り去られて、天に上げられたこのイエスは、天に上げられるのをあなたがたが見たのと同じ方法で、また来られるだろう」。
12.彼らはオリーブと呼ばれる山から、エルサレムに戻った。この山はエルサレムに近く、安息日に許された距離にあった。13.彼らはエルサレムに入り、滞在していた二階の間に上がった。それは、ペトロ、ヨハネ、ヤコブ、アンドレ、フィリポ、トマス、バルトロマイ、マタイ、アルファイの子ヤコブ、熱心党のシモン、ヤコブの子ユダであった。14.この人たちは皆、婦人たちやイエスの母マリア、またイエスの兄弟たちと心を一つにして祈りに専念していた。
15.その頃、百二十名ほどの人々が一つになっていたが、ペトロは兄弟たちの真ん中に立って言った。16.「兄弟たち、イエスを捕らえた者たちの首謀者となったユダについては、聖霊がダヴィデの口をとおして予告した聖書の言葉は成就しなければならなかったのです。17.彼はわたしたちの内にあって数えられていて、この務めを担っていました。18.ところで、このユダは不義の報酬で土地を得ましたが、そこに真っ逆さまに落ちて(体が)真ん中から裂け、その内臓がみな流れ出てしまいました。19.このことは、エルサレムに住むすべての人に知れわたり、こうしてその土地は、彼らの言葉で『アケルダマ』、すなわち、『血の土地』と呼ばれるようになったのです。20.詩篇の書にこう書かれています。
『彼の家は荒れ果てよ、
そこに住む者はいなくなれ』
また、
『彼の務めは他の人に引き継がせよ』と。

21.だから、主イエスがわたしたちの間に出入りされたすべての期間、わたしたちと一緒に過ごした者たちの中から、22.すなわち、ヨハネのバプテスマから始まって、わたしたちのもとから(天に)上げられた日まで、その中から一人を、わたしたちと共に主の復活の証人としなければなりません」。23.そこで、使徒たちは二人の者、すなわち、ユストという名前で、バルサバと呼ばれるヨセフとマッティアを立てて、24.祈って言った。「主よ、すべての者の心をご存知の主よ、これら二人の者の中から一人、あなたが選んだ者をお示しください。25.ユダが自分の所へ行こうと、使徒の務めから脇へそれてしまったこの奉仕と使徒の地位を継がせるためです」。26.それから、使徒たちが二人にくじを引かせると、くじはマッティアに当たったので、彼は十一人の使徒たちに加えられた。


●自然の中で聴く聖書 / 『使徒たちの働き』1章