2016年6月28日火曜日

新約聖書原典「テモテへの手紙一」1章の翻訳(私訳)

テモテへの手紙 一 


1章


1.わたしたちの救い主であられる神と、わたしたちの望みであられるキリスト・イエスの命令によって、キリスト・イエスの使徒となったパウロから、2.信仰による真の子テモテへ。
父であられる神と、わたしたちの主であられるキリスト・イエスから、恵みと憐みと平安があるように。
3.わたしがマケドニアへ旅に出る時あなたにお願いしたように、あなたはなおエフェソにとどまって、ある人たちに、異なる教えを説いたり、4.さまざまな作り話や、果てしのない系図などに執着することのないように命じなさい。そのようなものはどれも、信仰による神の家令の務めではなく、むしろさらなる詮索をもたらすだけです。5.この命令は、清らかな心、正しい良心、偽りのない信仰から出る愛を目標としています。6.彼らの中のある者たちは目標を外して、無駄話のほうにそれて行ってしまいました。7.彼らは、律法の教師でいたいと望みながら、自分たちの言っていることも、強く主張していることについても理解していないのです。8.もし律法を本来の趣旨に則して用いるなら、わたしたちは律法が良いものであることを知っています。9.わたしはこのことを知っています。すなわち、律法は義しい人のためにあるのではなく、律法のない者、不従順な者、不信心な者、罪深い者、不敬虔な者、世俗的な者、父を殺す者、母を殺す者、人を殺す者、10.不品行な者、男色をする者、奴隷商人、うそをつく者、偽り誓う者、その他、健全な教えに背く者のためにあるのです。11.神の祝福にみちた栄光の福音によれば、わたしはこの福音を委ねられたのです。
12.わたしを強くしてくださるわたしたちの主キリスト・イエスに、わたしは感謝しています。なぜなら、この方がわたしを忠実な者とみなして、この奉仕の業につかせてくださったからです。13.以前、わたしは神を冒涜する者、迫害する者、ごう慢な者でしたが、憐みを受けました。なぜなら、不信仰のゆえに知らずに行ったことだったからです。14.そして、わたしたちの主の恵みが、キリスト・イエスにある信仰と愛と共に、あふれるほどに注がれました。15.「キリスト・イエスは罪人たちを救うためにこの世に来てくださった」という言葉は、真実で、すべて受け入れるに値するものです。わたしは、その罪人たちのかしらなのです。16.わたしが憐みを受けたのは、キリスト・イエスが先ずわたしのうちにあらゆる忍耐を示し、彼を信じて永遠の命に至ろうとする人々の手本となるためです。17.永遠の王に、不滅の、目に見えない唯一の神に、誉れと栄光が世々限りなくありますように、アーメン。
18.わたしの子テモテよ、以前あなたに向けて語られた預言に従って、この命令をあなたに委ねます。それは、あなたがそれによって良い戦いを戦い、19.信仰と正しい良心を持っようになるためです。ある人々はその信仰を拒み、難破してしまいました。20.その中には、ヒメナイとアレクサンドロがいます。わたしは彼らをサタンに引き渡しました。それは、彼らに神を冒涜しないことを学ばせるためです。





2016年6月22日水曜日

新約聖書原典「テサロニケの人々への手紙二」3章の翻訳(私訳)

テサロニケの人々への手紙  

3章


1.最後に、兄弟たちよ、主の言葉が、あなたがたのところでもそうであったように、速やかに広まり、そしてあがめられるように、わたしたちのために祈ってください。2.また、わたしたちが、不当で邪悪な人々から救い出されるように祈ってください。すべての人々が真実だとは限らないのですから。3.しかし、主は真実です。主はあなたがたを強くし、悪い者から守ってくださるでしょう。4.あなたがたについては、わたしたちが命じていることを現に行っており、これからも行ってくれると、主にあって確信しています。5.どうか、主が、あなたがたの心を、神の愛とキリストの忍耐へと真っすぐに向けさせてくださるように。
6.兄弟たちよ、[わたしたちの]主イエス・キリストの名によって、あなたがたに命じます。怠惰な生活をし、わたしたちから受けた教えに従わないあらゆる兄弟から遠ざかりなさい。7.わたしたちにどのように見倣うべきか、あなたがた自身が知っています。というのは、わたしたちはあなたがたの間で、怠惰な生活をしたことがなかったからです。8.また、だれからもパンをただでもらって食べたこともありませんでした。むしろ、あなたがたの誰にも負担をかけまいと、骨折りと労苦のなかで、夜も昼も働いてきたのです。9.わたしたちには、(それを要求する)権利がないわけではありませんが、そうしたのは、わたしたちに見倣うようにと、あなたがたにわたしたち自身を模範として示すためだったのです。10.わたしたちがあなたがたのところにいた時、わたしたちは、「働こうとしない者は、食べてはならない」と、あなたがたに命じておきました。11.というのは、聞くところによると、あなたがたの中のある者たちは、働かずに怠惰な生活をし、ただ、余計なおせっかいをしているということです。12.こうした人たちに対し、わたしたちは、自分たちのパンを食べるために、落ち着いて働くようにと、主イエス・キリストにあって命じ、また勧告します。13.兄弟たちよ、あなたがたは落胆することなく、良い業を行いなさい。14.もし、この手紙によるわたしたちの言葉に従わない者がいれば、自ら恥じ入らせるために、その人には気をつけて、親しく交際してはいけません。15.しかし、敵のようには見なさずに、むしろ兄弟のように諭しなさい。16.平和の主ご自身が、いつ、いかなる方法でも、あなたがたに平和を与えてくださるように。主があなたがた一同と共におられるように。

17.パウロが自らの手で挨拶をします。この挨拶は、どの手紙にもあるしるしです。こう書きます。18.わたしたちの主イエス・キリストの恵みが、あなたがた一同と共にあるように。

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●「自然の中で聴く聖書」Ⅱ テサロニケの人々への手紙 3章





2016年6月20日月曜日

新約聖書原典「テサロニケの人々への手紙二」2章の翻訳(私訳)

テサロニケの人々への手紙  

2章


1.さて、兄弟たちよ、あなたがたにお願いします。わたしたちの主イエス・キリストの来られることと、わたしたちが主のみもとに集められることについて、2.霊によってでも、言葉によってでも、わたしたちから出たかのような手紙によってでも、主の日がすでに来ているかのように(言う者がいても)、すぐさま判断力をかき乱されたり、動揺させられたりしてはいけません。3.誰からも、どんな形ででも、あなたがたはだまされてはいけません。なぜなら、先ず、背教が起こり、それから不法の者、すなわち滅びの子が現れなければ(主の日は来ないからです)。4.彼はすべて神と呼ばれたり、礼拝されたりするものに向かって反抗して高ぶり、こうして、彼は神の宮に入って座し、自分を神だと宣言します。5.わたしがまだ、あなたがたのところにいたとき、これらのことを話したのを覚えていませんか。6.すなわち、あなたがたがすでに知っているとおり、彼が、自分の(定められた)時に現われるように、今、それを阻止しているものがあるのです。7.不法の秘密がすでに働いているからです。それは、ただ、今、引き止めている者が、取り除かれるまでのことです。8.そのとき、不法の者が現れるでしょう。その者を、主[イエス]は、その口の息によって殺し、その来臨の輝きによって滅ぼされるでしょう。9.不法の者が現れるのは、サタンの働きによるもので、あらゆる力と、しるしと、驚くべき惑わしと、10.あらゆる不義のだましごとによって、滅びゆく者たちを(欺きます)。なぜなら、彼らは自分たちの救いとなる真実の愛を受け入れなかったからです。11.このために、神は彼らが偽りを信じるように、惑わす力を彼らに送られるのです。12.それは、真理を信じないで不義を喜ぶ者たちが、みな裁きを受けるためです。
13.主に愛されている兄弟たちよ、わたしたちはいつも、あなたがたのことを神に感謝せずにはおられません。なぜなら、神は、御霊による清めと、純真な信仰によって、救いに至る初穂として、あなたがたを選んでくださったからです。14.そのために神は、わたしたちの福音によってあなたがたを召し、わたしたちの主イエス・キリストの栄光にあずからせようとされたのです。
15.ですから兄弟たちよ、しっかり立って、言葉によっても、わたしたちからの手紙によっても、あなたがたが教えられた命令をしっかり保ち続けなさい。

16.わたしたちの主イエス・キリストご自身と、わたしたちを愛して、恵みにより、永遠の慰めと良き希望を与えてくださるわたしたちの父であられる神が、17.あなたがたの心を励まし、あらゆる良い業と良い言葉とによって強めてくださるように。

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●「自然の中で聴く聖書」Ⅱテサロニケの人々への手紙 2章




τὸ κατέχον(引き止めていること:6)と、ὁ κατέχων(引き止めている:7)
6節のこと(単数)、7節は(単数)となっていることに注意。これはなにを意味するか。
「こと」は「もの」とも訳すことができる。いずれも中性で、聖書中にでてくる「霊」「聖霊」も中性名詞。
は男性で、聖書中でてくる「天使」は男性名詞。これらがヒントになるのかもしれない。





2016年6月14日火曜日

新約聖書原典「テサロニケの人々への手紙二」1章の翻訳(私訳)

テサロニケの人々への手紙 二 


1章


1.パウロとシルワノとテモテから、わたしたちの父であられる神と主イエス・キリストにあるテサロニケの人々の教会へ、2.[わたしたちの]父であられる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とがあなたがたにあるように。

3.兄弟たちよ、わたしたちはいつも、あなたがたのことで神に感謝しなければなりません。またそうするのが当然です。なぜなら、あなたがたの信仰が大いに成長し、お互いに対するあなたがたひとりひとりの愛が増し加わっているからです。4.ですから、わたしたち自身、あなたがたが耐えているあらゆる迫害と、あらゆる苦難におけるあなたがたの忍耐と信仰について、神の諸教会の間であなたがたを誇りとしています。5.あなたがたが神の国にふさわしい者とみなされるのは、神の裁きが正しいことの証拠です。あなたがたが苦しみを経験しているのも、神の国のためなのです。6.もし、本当に、あなたがたを苦しめる者たちに報いとして苦しみを与えることが、神にとって正しいことであるなら、7.苦しみを受けているあなたがたが、わたしたちと共に苦しみから解かれることは(神にとっては、なおさらのことです)。それは、主イエスが、燃えさかる炎の中、その力ある天使たちと共に、天から現れるときに実現します。8.(そのとき)、神を認めない人々と、わたしたちの主イエスの福音に聞き従わない人々に徹底的な処罰が与えられます。9.彼らは、主の御前とその力ある栄光から切り離されて、永遠の滅びという刑罰を受けることになるでしょう。10.その日、主は来られて、その聖徒たちの間であがめられ、信じるすべての人々の間で驚嘆されるでしょう。というのは、わたしたちの証しが、あなたがたに信じてもらえたからです。11.この事のために、わたしたちはいつも、あなたがたのために祈っています。すなわち、わたしたちの神が、あなたがたを召しにふさわしい者となし、御力によって、あらゆる親切な善意と、信仰の業を成しとげてくださるように。12.それは、わたしたちの神と、主イエス・キリストの恵みによって、わたしたちの主イエスの御名があなたがたの間であがめられ、また、あなたがたも主にあって誉れを受けるようになるためです。

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●「自然の中で聴く聖書」Ⅱ テサロニケの人々への手紙 1章




2016年6月10日金曜日

新約聖書原典「テサロニケの人々への手紙一」5章の翻訳(私訳)

テサロニケの人々への手紙  

5章


1.しかし、兄弟たちよ、時や時期については、あなたがたに書き送る必要はありません。2.主の日は、盗賊が夜やって来るように来るということを、あなたがた自身が詳しく知っているからです。3.人々が、「平和だ、安全だ」と言っているとき、妊婦に産みの苦しみが襲うように、突如、滅びが彼らに襲いかかり、決してそれから逃れることができません。4.しかし兄弟たちよ、あなたがたは暗闇の中にいないのですから、その日が盗賊のようにあなたがたを襲うことはありません。5.あなたがたはみな光の子、昼の子なのですから。わたしたちは、夜の子でも闇の子でもありません。6.ですから、わたしたちは、他の人々のように眠っていないで、目を覚まして慎んでいよう。7.眠る者たちは夜に眠り、酒に酔う者たちは夜に酔います。8.しかし、わたしたちは昼の子なのですから、信仰の胸当てと、愛と、救いの希望のかぶとを身につけて、慎んでいよう。9.なぜなら、神はわたしたちを怒りのために定められたのではなく、わたしたちの主イエス・キリストを通して救いを得るように定められたからです。10.主がわたしたちのために死なれたのは、わたしたちが、目を覚ましているにしても眠っているにしても、わたしたちが彼と共に生きるようになるためなのです。11.ですから、あなたがたが現にしているように、互いに励まし、互いに建て合いなさい。
12.兄弟たちよ、あなたがたにお願いします。あなたがたの間で労し、主にあってあなたがたを指導し、あなたがたを勧告する人々を覚え、13.その務めのゆえに、この人たちに愛をもって最高の敬意を払いなさい。互いに平和に過ごしなさい。14.兄弟たちよ、あなたがたに勧めます。怠惰な者たちを戒めなさい。小心な人々を励ましなさい。弱い人々の世話をしなさい。すべての人に寛容でありなさい。15.だれも、だれに対しても悪をもって悪に報いないように気をつけ、互いの間でも、すべての人に対しても、いつも善を熱心に追い求めなさい。
16.いつも喜んでいなさい。
17.絶えず祈っていなさい。
18.すべてに感謝していなさい。これは、キリスト・イエスにあって、神があなたがたに望んでおられることだからです。
19.御霊を消してはいけません。
20.預言を軽視してはいけません。
21.すべてを吟味し、良いものをしっかり保っていなさい。
22.あらゆる種類の悪から遠ざかりなさい。
23.平和の神ご自身が、あなたがたを完全に仕上げられた聖なる者としてくださるように。そして、わたしたちの主イエス・キリストが来られる時、あなたがたの霊と、たましいと、体が、全くととのった責められるところのないものとして守られますように。24.あなたがたを召された方は真実で、そうしてくださるでしょう。
25.兄弟たちよ、わたしたちのためにも祈ってください。
26.聖なる口づけをもって、すべての兄弟たちと挨拶を交わしなさい。27.この手紙がすべての兄弟たちに読まれるように、わたしは主によっておごそかに命じます。

28.わたしたちの主イエス・キリストの恵みが、あなたがたと共にありますように。

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●「自然の中で聴く聖書」Ⅰ テサロニケの人々への手紙 5章


τῶν χρόνων καὶ τῶν καιρῶν(1)
「時や時期」 時は短い時間、点的時間、時期は、ある期間、季節、線的時間を意味する。

★12節からは、『~しなさい』という命令の形が連続で現れる。これらの命令形はすべて現在命令法で書かれている。ゆえに、本義は『今~し続けなさい』の意味をもつ。

★「怠惰なものたち」(14)=軍隊が隊列を乱すという意味を持つ。ゆえに隊列を乱す者、他者と歩調を合わさない者の意。

★「弱い人々」(14)=肉体的に、霊的に



          散歩道の風景⑥

2016年6月8日水曜日

新約聖書原典「テサロニケの人々への手紙一」4章の翻訳(私訳)

テサロニケの人々への手紙  

4章


1.さて、最後に、兄弟たちよ、主イエスあってあなたがたにお願いし、また勧めます。すなわち、あなたがたがどのように生活し神に喜んでいただくべきか、あなたがたがわたしたちから受け継いだように、あなたがたは現にそのように生活していますが、なお一層そうしてください。2.わたしたちが主イエスによってどんな命令をあなたがたに与えたか、あなたがたは知っているはずですから。
3.神のみこころは、あなたがたが聖となることです。あなたがたは不品行を避け、4.それぞれ自分のからだを、きよく尊く保ち、5.神を知らない異邦人たちのように情欲におぼれず、6.このような行為で自分の兄弟を侵害したり欺いたりしてはいけません。なぜならば、前にもあなたがたに言って厳しく警告しておいたように、主は、これらすべてのことについて報復なさる方だからです。7.神はわたしたちを汚れた行いをするように召されたのではなく、きよい行いをするように召されたのです。8.だから、これを拒む者は人を拒むのではなく、あなたがたにご自分の聖なる霊をお与えになる神を拒むのです。
9.しかし、兄弟愛についてはあなたがたに書く必要はないでしょう。あなたがた自身、互いに愛し合うように、神から教えられているからです。10.また、そのことを、あなたがたは全マケドニアにいるすべての兄弟たちに対して実行しているからです。しかし、兄弟たちよ、あなたがたに勧めます。なお一層、そのことを実行してください。11.また、わたしたちがあなたがたに命じておいたように、落ち着いた生活をして自分の務めを熱心に行い、[自分の]手で働きなさい。12.それは、あなたがたが外の人々に対して上品に生活し、だれの世話をも必要としないでいられるためです。

13.兄弟たちよ、眠りについている人々に関しては、あなたがたに無知でいてほしくはありません。それは、希望を持たない他の人々のように、あなたがたが悲しむことのないためです。14.イエスが死んで甦られたとわたしたちが信じるなら、同様に、神はイエスのゆえに眠りについた人々を、イエスと共に導き出してくださるでしょう。15.わたしたちは主の言葉によって、このことをあなたがたに言います。すなわち、生きて主の来臨まで残るわたしたちが、眠りについている人々より先になることは決してありません。16.すなわち、主ご自身が、号令と、天使の長の声と、神のラッパの(鳴り響く)中で、天から下って来られます。それから、キリストにあって死んだ人々が最初に復活し、17.つぎに、生き残っているわたしたちが彼らと共に同時に、雲にさらわれ、主に会うために空中に(引き上げられます)。こうして、わたしたちはいつも主と共にいることになるのです。18.だから、あなたがたはこれらの言葉をもって互いに励まし合いなさい。

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●「自然の中で聴く聖書」Ⅰ テサロニケの人々への手紙 4章



εἰδέναι ἕκαστον ὑμῶν τὸ ἑαυτοῦ σκεῦος κτᾶσθαι ἐν ἁγιασμῷ καὶ τιμῇ(4)

4節の翻訳はτὸ ἑαυτοῦ σκεῦος をどのように訳すかで全体の意味合いも変わってくる。上記のわたしの訳では「自分のからだ」と訳したが、新共同訳ではここを「妻と生活し」(直訳だと、『自分の妻を得る』『自分の妻を知る』)と訳しているが、両方訳し得る。ゆえに上記の翻訳以外に、次のように訳すことが可能。
「あなたがた各自は、清さと尊厳とによって自分の妻を得る(知る)ことをわきまえ」。
要は、男女間の不品行を戒め、結婚生活は本来、神聖であるべきことを説いているのであろう。
3節の「不品行」も、男女間の性的不品行を意味している。

★「雲にさらわれ、主に会うために空中に引き上げられます」(17)
は、直訳では、「主に会うために雲にさらわれ」である。


               散歩道の風景⑤

2016年6月6日月曜日

新約聖書原典「テサロニケの人々への手紙一」3章の翻訳(私訳)

テサロニケの人々への手紙  

3章


1.ですから、わたしたちはもう我慢できず、わたしたちだけがアテネに残ることを良しとして、2.わたしたちの兄弟であり、キリストの福音における神の同労者であるテモテをそちらに派遣しました。それは、あなたがたを強め、あなたがたの信仰を励まし、3.これらの苦難の中においてもだれも動揺させられることのないようになるためです。というのは、あなたがた自身も知っていることですが、わたしたちはこうなるように定められているからです。4.わたしたちがあなたがたのところにいた時に、わたしたちはやがて苦難に会うということをあらかじめ言っておきましたが、そのようになったことは、あなたがたも知ってのとおりです。5.ですから、わたしももう我慢できず、試みる者があなたがたを誘惑して、わたしたちの労苦が無駄にならないように、あなたがたの信仰(の様子)を伺おうと(テモテを)遣わしたのです。
6.しかし、今は、テモテがあなたがたのもとからわたしたちのもとへ来て、わたしたちにあなたがたの信仰と愛とを知らせてくれました。そして、あなたがたがいつもわたしたちについて良い思い出を抱いておられること、また、わたしたちがあなたがたに会いたいのと同じように、あなたがたもわたしたちにしきりに会いたがっていることを知りました。7.ですから、兄弟たちよ、わたしたちはあなたがたのことで、わたしたちが受けたあらゆる艱難と苦難に遭いながらも、あなたがたの信仰によって励まされました。8.なぜなら、あなたがたが主にあって堅く立っていてくれるなら、わたしたちは今、生きることができるのですから。9.わたしたちは、あなたがたの故に喜ぶあらゆる喜びのことで、あなたがたに関してわたしたちの神の御前で、どんな感謝を神にお返しすることができるでしょうか。10.また、あなたがたの顔を見て、あなたがたの信仰の足りないところを補いたいと、夜も昼もどれほど願っていることでしょうか。

11.それで、わたしたちの父でもある神ご自身と、わたしたちの主イエスが、あなたがたのところへ行くわたしたちの道を導いてくださるように。12.そして、わたしたちがあなたがたを愛しているように、主があなたがたを互いの愛と、すべての人々への愛とで豊かに満ち溢れさせてくださるように。13.わたしたちの主であるイエスが、そのすべての聖なる者たちと共に来られるとき、わたしたちの父でもある神の聖なる御前で、あなたがたの心が強められ、責められるところのない者としてくださるように、[アーメン]。

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●「自然の中で聴く聖書」Ⅰ テサロニケの人々への手紙 3章


★「わたしたちはこうなるように定められているからです」(3)は直訳。意訳は「わたしたちは苦難に遭うように定められているからです」。


           散歩道の風景④

2016年6月3日金曜日

新約聖書原典 「テサロニケの人々への手紙一」2章の翻訳(私訳)

テサロニケの人々への手紙  

2章


1.兄弟たちよ、あなたがた自身が知っているように、わたしたちがあなたがたのところへ入って行ったことは、無駄にはなりませんでした。2.知ってのとおり、わたしたちは以前、フィリピで侮辱され苦しみましたが、その多くの苦悩の中で、わたしたちの神によってあなたがたに神の福音を大胆に語りました。3.わたしたちの勧めは、誤った考えや汚れた思いから出たのでも、策略によるものでもなく、4.むしろ、わたしたちは神から信任を受けたものとして、福音を信じる者として語っているのです。わたしたちは人々に喜ばれようとしてではなく、わたしたちの心を吟味なさる神に喜ばれるように語っているのです。5.あなたがたが知っているとおり、わたしたちはへつらいの言葉や、貪欲ないいわけによって語ったことはありません。神が証人です。6.わたしたちは、人々の称賛を求めてもいないし、あなたがたや他の人たちからの称賛も求めてはいません。7.わたしたちはキリストの使徒として(それらを)要求できる立場にある者です。しかし、わたしたちは、乳母がその子供たちを養育するように、あなたがたの間では幼児となりました。8.わたしたちはあなたがたを慕わしく思っていますので、神の福音だけでなく、わたしたちの命をもあなたがたに喜んで分け与えたいと願うほどです。なぜなら、あなたがたは、わたしたちにとってかけがえのない人たちとなったからです。9.兄弟たちよ、あなたがたはわたしたちの骨折りと労苦を覚えておられるでしょう。すなわち、わたしたちはあなたがたの誰にも重荷を負わせまいとして、夜も昼も働きながら、あなたがたに神の福音を宣べ伝えたのです。10.わたしたちがあなたがた信者に対し、敬虔に、正しく、そして責められるところのない者として振る舞ったことは、あなたがたが証ししてくれますし、神も証ししてくださいます。11.あなたがたが知っているとおり、父が自分の子供たちにするように、あなたがたひとりひとりに対し、12.あなたがたが、ご自分の御国と栄光に招き入れてくださった神にふさわしい者として歩むようにと、慰め、励まし、厳かに勧めたのでした。
13.ですから、わたしたちはいつも神に感謝しているのです。すなわち、わたしたちからみ言葉を聞いたとき、あなたがたはそれを人の言葉としてではなく、真に神の言葉として受け入れてくれました。この神の言葉は、あなたがた信じる人々の中に働いているのです。14.兄弟たちよ、あなたがたは、ユダヤにおけるキリスト・イエスにある神の諸教会に倣う者となりました。なぜなら、彼らがユダヤ人たちから苦しめられたように、あなたがたも自分の同胞たちから同じく苦しめられたのですから。15.主イエスと預言者たちを殺した者たちは、わたしたちをも激しく迫害し、神に喜ばれることをしないで、すべての人々に敵対し、16.異邦人が救われるためにわたしたちが彼らに語るのを妨げ、こうして、いつも自分たちの罪を満たしているのです。しかし、(神の)怒りは彼らの上に限界にまで達しました。

17.兄弟たちよ、わたしたちはしばらくの間、あなたがたから引き離されて孤児同然となっていましたので、―顔を見ないだけで、心が離れていたということではありませんがーますます、あなたがたの顔を見たいと切に望み努力しました。18.ですから、わたしたちはあなたがたのところへ行こうとしたのです。わたしパウロは、一度ならず二度も行こうとしましたが、サタンがわたしたちを妨げました。19.わたしたちの主イエスが来られるとき、主の御前で、わたしたちの希望、喜び、誇れる冠となるのはだれでしょうか。あなたがたではありませんか。20.実に、あなたがたはわたしたちの誉れであり、また喜びなのです。

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●「自然の中で聴く聖書」Ⅰ テサロニケの人々への手紙 2章


           散歩道の風景③