2014年3月19日水曜日

新約聖書原典「ヨハネの黙示録」10章の翻訳(私訳)


ヨハネの黙示録 

10章


1.またわたしは、一人の他の力強い天使が、雲を着て天から下りて来るのを見た。その頭には虹をいただき、その顔は太陽のようで、その両足は火の柱のようであった。2.その手には開かれた小さな巻物を持ち、その右足を海の上に、左足を地の上に置いていた。3.そして、ライオンが吠えるように大声で叫んだ。彼が叫んだ時、七つの雷がそれぞれの声を発した。4.七つの雷が声を発した時、わたしは(その言葉を)書き留めようとしたが、天から声が聞こえて、こう言った。「七つの雷が語ったことを封印しなさい。それらを書き留めてはならない」。
5.すると、わたしが見た海と地の上に立っている天使が、その右の手を天に上げ、6.天とその中にあるもの、地とその中にあるもの、海とその中にあるものを創造され、永遠に限りなく生きておられる方にかけて誓った。「もはや時ががない。7.七番目の天使がラッパを吹こうとしている。その音が響く日には、ご自分の僕である預言者たちに告げたように、神の奥義は成就される」。8.わたしが天から聞いたその声が、再びわたしに語ってこう言った。「行って、海と地の上に立っている天使の手にある開かれた巻物を受け取りなさい」。9.そこでわたしは、その天使のもとに行って、彼に「わたしにその小さな巻物をください」と言った。すると、彼はわたしに言った。「取って、それを食べなさい。それは、あなたの腹には苦いが、あなたの口には蜜のように甘いでしょう」。
10.そこでわたしは、その天使の手から小さな巻物を受け取って、それを食べた。すると、それはわたしの口には蜜のように甘かったが、それを食べると、わたしの腹が苦くなった。11.すると彼らはわたしに言った。「あなたはもう一度、部族、国民、言葉の違う民、多くの王たちに対して預言しなければならない」。


●「自然の中で聴く聖書」ヨハネの黙示録




新約聖書原典「ヨハネの黙示録」9章の翻訳(私訳)

ヨハネの黙示録 

9章


1.五番目の天使がラッパを吹いた。わたしは一つの星が天から地に落ちるのを見た。そして、この星に底知れぬ所の穴の鍵が与えられた。2.この星が底知れぬ所の穴を開けると、その穴から、大きなかまどの煙のような煙が立ち上った。また、太陽も空も、穴から出る煙によって暗くなった。3.また、その煙からいなごの群が地に出て来た。そして、そのいなごの群に、地のさそりたちが持っているような力が与えられた。4.いなごたちには、神の印をその額に押されていない人々以外には、地の草も、どんな青草も、どんな木をも害してはならないと告げられた。5.その人々を殺してはならないが、五か月の間、悩まされることは許された。彼らの苦悩は、さそりが人を刺す時のような苦しみである。6.それらの期間、人々は死を願っても、決してそれを得られず、死ぬことをどんなに望んでも、死は彼らから逃げて行く。7.いなごたちの姿は、戦いのために準備された馬に似ていて、それらの頭に金の冠のようなものをかぶり、それらの顔は人間の顔のようであった。8.また、髪は女の髪のようで、それらの歯はライオンの歯のようであった。9.また、鉄の胸当てのような胸当てをつけ、その羽音は、多くの馬に引かれて戦いに走る戦車の音のようであった。10.また、さそりのような尾と針をもち、それらの尾には、五か月の間、人々に害を及ぼす力があった。11.いなごたちの上には、底知れぬ所の天使を王に戴いており、その名はヘブライ語でアバドンと言い、ギリシア語の名をアポルオンと言う。12.第一の災いが過ぎ去った。見よ、まだ二つの災いがこの後にやって来る。
13.六番目の天使がラッパを吹いた。するとわたしは、神の御前にある金の祭壇の四つの角から出る一つの声を聞いた。14.それは、ラッパを持っている六番目の天使にこう言った。「大きな川、ユーフラテスのほとりにつながれている四人の天使たちを解いてやれ」。15.すると、この時と日と月と年のために用意されていた四人の天使が、人間の三分の一を殺す為に解き放たれた。16.その騎兵隊の数は二億であった。わたしはそれらの数を聞いた。17.わたしが幻の中で、馬たちと、それに乗っている者たちを見た様子はこうであった。彼らは火と紫と硫黄の色の胸当てをつけ、馬たちの頭はライオンの頭のようで、それらの口からは、火と煙と硫黄とが出ていた。18.それらの口から出る火と煙と硫黄のこれら三つの災いによって、人間の三分の一が殺された。19.馬たちの力は、彼らの口と尾にある。彼らの尾は、ヘビに似て頭があり、これらの頭で(人間を)害するのである。

20.これらの災いで殺されなかった人々の中の残りの者たちは、悪霊どもや、見ることも聞くことも、歩くこともできない金や、銀や、銅や、石や、木などの偶像を崇拝するのをやめて、自分たちの手の業を悔い改めなかった。21.また、自分たちの殺人や、魔術や、不品行や、盗みを悔い改めなかった。



●「自然の中で聴く聖書」ヨハネの黙示録 9章


★4~6節は、神の印をその額に押されていない人々の遭遇する言い表せない苦しみを描いている。(第五のラッパの預言)  
★17~18節は、神の印を額に押されていない人々の三分の一が、2億の馬の口から出る火と煙と硫黄の三つの災害で殺されるとの預言。(第六のラッパの預言)   
★神の印を額に受けない人々とは誰か、また神の印とは何か。9章の重要なテーマでもある。




2014年3月14日金曜日

新約聖書原典「ヨハネの黙示録」8章の翻訳(私訳)


ヨハネの黙示録 

8章


1.小羊が第七の封印を開いた時、天で半時間ほどの静けさが生じた。2.またわたしは、神の御前に立っている七人の天使たちを見た。そして彼らに七つのラッパが与えられた。
3.また、ほかの天使が来て、金の香炉を持って祭壇のそばに立った。そして彼に沢山の香が与えられた。それは、すべての聖徒たちの祈りとともに、御座の前の金の祭壇の上にささげるためであった。4.香の煙は、聖徒たちの祈りとともに、天使の手から神の御前に立ちのぼった。5.天使は香炉を取り、それに祭壇の火を満たして地に投げた。すると雷鳴と音と稲妻と地震が起きた。
6.七つのラッパを持つ七人の天使たちが、ラッパを吹く準備をした。
7.一番目の天使がラッパを吹いた。すると、血の混じった雹と火が生じ、地に投げ込まれた。すると、地の三分の一が焼け、木々の三分の一も焼け、すべての青草も焼けてしまった。
8.また、二番目の天使がラッパを吹いた。すると、火の燃える大きな山のようなものが海に投げ込まれ、海の三分の一が血となった。9.すると、海の中にいる命ある造られたものの三分の一が死に、船という船の三分の一も破壊されてしまった。
10.また、三番目の天使がラッパを吹いた。すると、たいまつのように燃える大きな星が天から落ち、川という川の三分の一とその水の源に落ちた。11.その星の名は「にがよもぎ」と言い、水の三分の一がにがよもぎのようになった。水が苦くなったので、その水のゆえに多くの人々が死んだ。
12.また、四番目の天使がラッパを吹いた。すると、太陽の三分の一と、月の三分の一と、星々の三分の一が打たれた。そのために、それらの三分の一が暗くなり、昼はその三分の一が明るさを失い、夜も同じようになった。
13.また、わたしが見ていると、一羽の鷲が中空を飛びながら大声でこう言うのを聞いた。「わざわいだ、わざわいだ、わざわいだ、地の上に住んでいる人々は。なお三人の天使がラッパを吹き鳴らそうとしている」。


●「自然の中で聴く聖書」ヨハネの黙示録 8章





2014年3月6日木曜日

新約聖書原典「ヨハネの黙示録」7章の翻訳(私訳)

ヨハネの黙示録 

7章


1.その後、わたしは四人の天使が、地の四隅に立っているのを見た。彼らは地の四方の風をしっかり押さえて、風が地にも海にも全ての木にも吹きつけないようにしていた。2.わたしはまた、ほかの一人の天使が生ける神の印を持って、日の出るほうから上って来るのを見た。そして大声で、地と海とを損なうことを許されたその四人の天使に向かって叫んで、3.言った。「わたしたちの神の僕たちの額に、わたしたちが印を押してしまうまでは、地も海も木々も損なってはいけない」。4.そしてわたしは、印を押された人々の数(が告げられるの)を聞いた。それは十四万四千で、イスラエルの子らの全部族の中から印を押されていた。
5.印を押された人々は、
ユダの部族から一万二千、
ルベンの部族から一万二千、
ガドの部族から一万二千、
6.アセルの部族から一万二千、
ナフタリの部族から一万二千、
マナセの部族から一万二千、
7.シメオンの部族から一万二千、
レビの部族から一万二千、
イサカルの部族から一万二千、
8.ゼブルンの部族から一万二千、
ヨセフの部族から一万二千、
ベニヤミンの部族から一万二千であった。
9.その後、わたしは見た。見よ、だれも数えることのできないほどの大勢の群衆が、あらゆる国民、部族、民族、言葉の違う民の中から、白い衣を着せられ、その手にシュロの枝を持って、御座と小羊との前に立っているのを。10.そして、彼らは大声で叫んで言った。
「救いは、御座に座しておられるわたしたちの神に、また小羊にある。」
11.天使たちは皆、御座と、長老たちと、四つの生き物の周りに立っていたが、彼らの面前で御座の御前にひれ伏し、神を拝して、12.言った。
「アーメン。賛美と、栄光と、知恵と、感謝と、誉れと、力と、勢いとが、わたしたちの神にいつまでも限りなくあるように、アーメン。」

13.すると、長老の一人が答えてわたしに言った。「この白い衣を着せられた人々は誰か。また、どこから来たのか」。14.わたしはその人に言った。「わが主よ、あなたがご存知です」。すると、その人がわたしに言った。「これらの人々は、大きな苦難を経て来た人たちで、自分たちの衣を洗い、小羊の血でそれを白くしたのである。15.だから彼らは、神の御座の前にいて、昼も夜も神の聖所で神に仕えているのである。御座の上に座っておられる方も、彼らの上に幕屋を張って住まわれる。16.彼らは飢えることも渇くこともない。太陽も、どんな炎暑も、もはや彼らの上に降りかかることはない。17.御座の真ん中におられる小羊が、彼らの牧者となり、彼らをいのちの水の泉へ導き、神が彼らの目から涙を全て拭い去ってくださるからである」。


●「自然の中で聴く聖書」ヨハネの黙示録 7章
https://youtu.be/d_wrZv9--YQ

κρατοῦντας τοὺς τέσσαρας ἀνέμους τῆς γῆς ἵνα μὴ πνέῃ ἄνεμος ἐπὶ τῆς γῆς μήτε ἐπὶ τῆς θαλάσσης μήτε ἐπὶ πᾶν δένδρον (1)
「地の四方の風をしっかり押さえて、地にも海にも全ての木にも吹きつけないようにしていた」
ἄχρι σφραγίσωμεν τοὺς δούλους τοῦ θεοῦ ἡμῶν ἐπὶ τῶν μετώπων αὐτῶν(3)
「わたしたちの神の僕たちの額に、わたしたちが印を押してしまうまでは」

地の四隅は”世界の四隅”で全世界を意味する。「風」は黙示的預言では多くの場合、戦争、戦い、この場合は特に「世界の終わりを意味する何か」と考えられる。もしそうだとすると、したがって、1節の意味は、四人の天使が、全世界に及ぶ大規模な世界的戦争もしくは、世界の滅亡をまねくような世界的大事件がまだ起きないよう「しっかり押さえて」いることの表象であろうか。そうだとしたら、この「しっかり押さえる」、それはいつまでだろうか?その答えは、その後現われる一人の天使が語る。「わたしたちの神の僕たちの額(の上)に、わたしたちが印を押してしまうまで」。それまでは起こらないが、それが完了すると起こることが暗示されている。  

σφραγῖδα θεοῦ ζῶντος (2) 「生ける神の印」=(生きておられる神の印章)  

神の僕たちの額の上に押されるのは、「生ける神の印」である。印はその人のものであることの証明。したがって、印を額に押されるということは、押された人々(=神の僕たち)がそれによって押した方(ほかの一人の天使)によって証明、もしくは所有されたことを意味する。1節2節の関連の中で理解することが重要。  

印を押された人々の数=144.000
上記の数はおそらく象徴的なものであろう。むしろ数より、それがイスラエルの十二部族(=字義的な部族の名は世界民族の代表として現われる)にくまなく広く及んでいることが重要。それは9節の「その後、私は見た。見よ、だれも数えることができないほどの大勢の群衆が、あらゆる国民、部族、民族、言葉の違う民の中から、白い衣を着せられ…」という表現からも理解できる。

★10節の「救いは~」は、「勝利は~」と訳すこともできる。




2014年3月3日月曜日

新約聖書原典「ヨハネの黙示録」6章の翻訳(私訳)


ヨハネの黙示録 

6章


1.また、わたしは見た。小羊が七つの封印の一つを開いた時、四つの生き物の一つが雷鳴のような声で、「来なさい」と言うのをわたしは聞いた。2.わたしが見ていると、見よ、白い馬が出て来た。それに乗っている者は弓を持っており、冠を与えられて、勝利の上にもなお勝利を得ようと出て行った。
3.また、小羊が第二の封印を開いた時、第二の生き物が「来なさい」と言うのをわたしは聞いた。4.すると、ほかの火のような赤い馬が出て来た。それに乗っている者に、人々が殺し合うようになるために、地から平和を取り去ることを許された。また、彼に大きな剣が与えられた。
5.また、小羊が第三の封印を開いた時、第三の生き物が「来なさい」と言うのをわたしは聞いた。すると、見よ、黒い馬が出て来た。それに乗っている者は、その片手に秤を持っていた。6.そしてわたしは、四つの生き物の間で声のようなものが、こう言うのを聞いた。「小麦一ますは一デナリオン、大麦三ますも一デナリオン、オリーブ油とぶどう酒に害を及ぼすな」。
7.また、小羊が第四の封印を開いた時、第四の生き物が「来なさい」と言う声をわたしは聞いた。8.すると、見よ、青白い馬が出て来た。その上に乗っている者は、その名を「死」と言い、これにハデスが従っていた。それらには地の四分の一を支配し、剣と、飢餓と、死と、また地の野獣とによって(人を)殺す権威が与えられた。
9.小羊が第五の封印を開いた時、わたしは神の言葉と、自分たちが持っていた証しの故に殺された人々のいのちが、祭壇の下にあるのを見た。10.すると彼らは大声で叫んで言った。「聖なるまことの主よ、いつまで裁きをなさらず、地に住む者たちにわたしたちの血の報復をなさらないのですか」。11.すると、彼ら一人ひとりに白い衣が与えられ、自分たちと同じように殺されようとしている僕仲間や兄弟たちの(数が)満ちるまで、もう少しの間、休息しているようにと告げられた。
12.また、小羊が第六の封印を開いた時、わたしは見た。大地震が起こり、太陽は毛織の粗布のように黒くなり、月は全面血のようになった。13.天の星々は、いちじくが、ちょうどその青い実が強風に揺さぶられて振り落とされるように地に落ちた。14.天は巻きものが巻かれるように消え、すべての山も島もその場所から移されてしまった。15.地の王たち、高官たち、千人隊長たち、金持ちたち、権力者たち、およびすべての奴隷および自由人たちは、洞穴や山々の岩陰に身を隠し、16.「山々や岩陰に向かって言った。『我々の上に崩れて、御座に座っておられる方のみ顔と、小羊の怒りから我々を隠してくれ。17.神と小羊の怒りの大いなる日が来たからだ。だれが(御前に)立つことができようか』」。



●「自然の中で聴く聖書」ヨハネの黙示録 6章