2014年5月30日金曜日

新約聖書原典「ヨハネの黙示録」20章の翻訳(私訳)


ヨハネの黙示録 

20章


1.わたしはまた、一人の天使が、その手に底知れぬ所の鍵と大きな鎖を持って、天から降りて来るのを見た。2.彼は、古くからの蛇、すなわちそれは、悪魔でもサタンでもある竜を捕らえ、それを千年の間、鎖で縛り、3.底知れぬ所へ投げ落とし、その上に鍵をかけて封印した。それは、竜が千年の終わるまで、諸国民をなおも惑わすことのないようにするためである。その後、少しの期間だけ解放されることになっている。
4.わたしはまた、数々の座と、それらの上に座している人々を見た。彼らには裁きの権威が与えられた。また、イエスの証しと、神の言葉とのゆえに首を切られた人々のいのちをも見た。彼らの誰も、獣もその像をも拝まず、彼らの額と手に刻印を受けなかった。彼らは生き返って、キリストと共に千年の間、支配した。5.それ以外の死んだ者たちは、千年が終わるまで生き返らなかった。
これが第一の復活である。6.第一の復活にあずかる者は、幸いな者また聖なる者である。これらの者たちにとって、第二の死は何の力も持たない。むしろ彼らは、神とキリストの祭司となって、キリストと共に千年の間、支配することになる。
7.そして、千年が終わると、サタンはその獄から解放され、8.地の四方にいる諸国民、ゴグとマゴグを惑わすために(獄から)出て来て、彼らを戦いのために召集する。その数は、海の砂のように多い。9.彼らは、地の広い所に上って来て、聖徒たちの宿営と愛された都とを包囲した。『すると、天から火が降って、彼らを焼きつくした。』10.彼らを惑わした悪魔は、火と硫黄との池に投げ込まれた。そこには、獣も偽預言者もいて、彼らは昼も夜もいつまでも限りなく苦しめられるだろう。

11.わたしはまた、輝く大きな御座と、その上に座しておられる方を見た。地も天もその方の前から逃げ去り、跡形もなくなってしまった。12.わたしはまた、死んだ者たちが、大きな者たちも小さな者たちも、御座の前に立っているのを見た。そして、いくつかの書物が開かれた。また、ほかの一つの書物も開かれた。それは命の書である。死んだ者たちは、これらの書に書かれていることによって、彼らの行いに従って裁かれた。13.海は、その中にいる死人たちを渡し、死もハデスも、その中にいる死人たちを渡した。彼らは、それぞれその行いに従って裁かれた。14.そして、死もハデスも火の池に投げ込まれた。これが第二の死である。15.命の書に名が記されていない者はだれでも、火の池に投げ込まれた。



●「自然の中で聴く聖書」ヨハネの黙示録 20章


ὁ ὄφις ὁ ἀρχαῖος (2)「昔のへび」「古いへび」

「年を経たへび」(新共同訳、口語訳)、「古いへび」(新改訳)と訳されているが、ヨハネはエバを罪へ誘惑したへびのことを考えているとすれば、「昔のへび」と訳すのが妥当であろう。

τὰς ψυχὰς τῶν πεπελεκισμένων διὰ τὴν μαρτυρίαν Ἰησοῦ καὶ διὰ τὸν λόγον τοῦ θεοῦ (4)
「イエスの証しと、神の言葉とのゆえに首を切られた人々のいのちを…見た」

ヨハネが見た「人々のたましい τὰς ψυχὰς τῶν (タース プシューカス トーン)」は、実体のない霊魂ではなく、生きた個体である。τὰς ψυχὰς τῶν は「命を持った人々」と訳すのがより正確。ゆえに、「首を切られた人々が生きているのを見た」と訳すのが良いように思われる。それは、すぐあとに続く、「彼らは生き返って、キリストとともに千年の間支配した」より明らかなことである。

★「いくつかの書物」と「一つの書物」(12)
原語のギリシア語では複数(諸書物)と単数で使い分けされている。




0 件のコメント:

コメントを投稿