2014年5月14日水曜日

新約聖書原典「ヨハネの黙示録」17章の翻訳(私訳)


ヨハネの黙示録 

17章


1.また、七つの鉢を持つ七人の天使たちの中の一人が来て、わたしにこう言った。「ここへ来なさい。多くの水の上に座る大淫婦の裁きをあなたに見せてあげよう。2.地の王たちは彼女と姦淫をおこない、地に住む人々も、彼女の姦淫の葡萄酒のために酔わされた」。3.また、その天使は、御霊によってわたしを荒野へ連れて行った。
そしてわたしは、赤い獣に座っている女を見た。その獣は神を汚す名で満ちていて、七つの頭と十の角を持っていた。4.女は紫と赤の衣を着ていて、金と宝石と真珠とで飾っていた。そして、嫌悪すべきものや、彼女の姦淫によって汚れたものなどでいっぱいになった金の杯をその手に持っていた。5.また彼女の額には、謎めいた名が書かれていて、それは、「大いなるバビロン、淫婦たちと地の嫌悪すべきものどもの母」というものであった。6.またわたしは、女が、聖なる者たちの血とイエスの証人たちの血に酔いしれているのを見た。わたしは彼女を見て非常に驚き怪しんだ。
7.すると、天使がわたしに言った。「なぜ驚くのか。わたしはあなたに、この女と、女を乗せている七つの頭と十の角を持つ獣の秘密を言おう。8.あなたが見た獣は、かつてはいたが今はおらず、やがて底知れぬ所から上ってこようとしているが、遂には滅び去る。地の上に住んでいる人々、すなわち、世の初めから命の書に名が書かれていなかった人々は、その獣を見て驚き怪しむだろう。その獣が、かつてはいたが今はおらず、やがて現れようとしているからである。9.ここで、知恵のある心が必要である。七つの頭とは、女が座っている七つの山々で、七人の王たちのことである。10.五人は倒れ、一人は今おり、他の一人はまだ現れていない。それが現れたなら、少しの間だけ、とどまることになっている。11.かつてはいたが、今はいない獣とは、第八の者のことで、七人の中から出るが、やがて滅び去る。12.あなたが見た十の角とは、十人の王たちである。彼らはまだ誰も国を受けていないが、一時だけ、獣と共に王のように権威を授かる。13.これらの者たちは、考えを一つにして、彼らの力と権威をこの獣に与える。14.これらの者たちは、小羊と戦うだろうが、小羊は彼らに打ち勝つ。なぜなら、彼は主たちの主、王たちの王だからである。また、小羊と共にある者たち、召された者たち、選ばれた者たち、忠実な者たちも勝利する」。

15.天使はまたわたしに言った。「あなたが見た淫婦が座っている所の水は、民族、民衆、国民、言葉の異なる民である。16.また、あなたが見た十の角と獣はこの淫婦を憎み、彼女の身に着けているものをはぎ取り、裸にしてその肉を食らい、彼女を火で焼き尽くすだろう。17.それは、神が彼らの心にご自分の御心を行わせ、思いを一つにさせ、神の言葉が完成されるまで、彼らの支配権を獣に与えるようにされたからである。18.あなたが見た女は、地の王たちの上に支配権を持つ、大いなる都のことである」。



●「自然の中で聴く聖書」ヨハネの黙示録 17章

τὰ δέκα κέρατα ἃ εἶδες καὶ τὸ θηρίον οὗτοι μισήσουσιν τὴν πόρνην (16)
「あなたが見た十の角と獣はこの淫婦を憎み」

16節冒頭の主語は、ネストレ27、28版では、『十の角と獣』となっているが、KJVの底本では、「あなたが見た獣の上の十の角は」とあり、『十の角』が主語となっている。この違いは、写本による底本の違いからであるが、どちらが正しいかは不明。ただ、両者では、預言の解釈上大きな違いが生じることは避けられない。 




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