2017年2月20日月曜日

新約聖書原典「コロサイの人々への手紙」1章の翻訳(私訳)

コロサイの人々への手紙 


1章


1.神の御旨によって、キリスト・イエスの使徒となったパウロと、兄弟テモテから、2.コロサイにいる聖徒たちと、キリストにある忠実な兄弟たちへ。わたしたちの父であられる神から、恵みと平安が、あなたがたにあるように。
3.わたしたちが、いつもあなたがたのために祈る時、わたしたちの主イエス・キリストの父であられる神に感謝しています。4.それはキリスト・イエスにあるあなたがたの信仰と、すべての聖徒たちに対してあなたがたが抱いている愛を聞いたからです。5.(この愛は)、あなたがたのために天に備えられている希望のためであり、この希望については、福音による真理の言葉によって、以前からあなたがたは聞いています。6.あなたがたに届いている福音は、世界のどこでもそうであるように、神の恵みを聞いて本当に理解した日から、あなたがたのところでも同じように実を結び成長しているのです。7.あなたがたが、わたしたちと共に仕えている愛するエパフラスから学んだとおりです。彼は、あなたがたのためのキリストの忠実な奉仕者であって、8.御霊によるあなたがたの愛を、わたしたちに示してくれたのです。
9.こういうわけで、わたしたちがそのことを聞いたその日から、わたしたちが絶えずあなたがたのために祈り求めているのは、あなたがたが、霊的なあらゆる知恵と判断力によって、神の御心を知る知識で満たされ、10.あらゆる点で主を喜ばせるにふさわしいものとして生活し、あらゆる善い行いによって実を結び、神を知る知識において成長し、11.神の栄光ある力にしたがい、そのすべての力によって強められ、すべてのことに、喜びをもって忍耐強く耐え忍び、12.あなたがたを、光の中にいる聖徒たちの分け前にあずかるのに適した者としてくださった御父に感謝する者となるように、ということです。13.この御父は、わたしたちを闇の力から救ってくださり、その愛する御子の支配のもとに移してくださいました。14.この御子によって、わたしたちは贖い、すなわち、罪の赦しを得ているのです。
15.御子は、見えない神の姿であり、すべての被造物より先に生まれた方です。16.なぜなら、天上にあるものも地の上にあるものも、見えるものも見えないものも、王座も主権も、支配も権威も、すべてのものは御子によって創造されたからです。すなわち、万物は御子によって、御子のために創造されたのです。17.御子は、万物よりも先におられ、万物は御子によって成り立っているのです。18.また、御子はその体である教会の頭です。御子は初めの者であり、死者たちの中から最初に生まれた方です。それは、彼がすべてのことにおいて第一の者となるためです。19.神は御子の内に、すべての満ちみちたものを宿らせることを願わしいことと思われ、20.御子によって、すべてのものをご自分に対して和解させ、地の上のものであれ、天にあるものであれ、[御子によって]、その十字架の血によって平和をつくり出してくださいました。
21.あなたがたも以前には、(神から)遠ざけられ、種々の悪い行いにより、心で(神に)敵対していました。22.しかし今では、御子が、その肉の体により、死をとおして、あなたがたを(神と)和解させ、あなたがたを、聖なる者、無傷な者、とがめられることのない者として、神の御前に立たせてくださったのです。23.だから、あなたがたはゆるぎなく、しっかりと信仰にふみとどまり、あなたがたが聞いた福音の望みから離れることがないようにしなさい。この福音は、天の下のすべての造られたものに宣べ伝えられたもので、わたしパウロは、そのために仕える者となったのです。

24.今、わたしは、あなたがたのために苦しむのを喜びとし、キリストの苦しみの不足分を、キリストの体に代わって、わたしの肉体をもって補っているのです。このキリストの体とは、教会のことです。25.わたしは、神の言葉をあなたがたに満たすため、わたしに与えられた神の家令としての務めを果たすために、教会に仕える者となりました。26.世の始めから、また、代々にわたって隠されてきた奥義が、今や、神の聖徒たちに明白にされたのです。27.神は、異邦人たちの間で、この奥義がいかに栄光に富んだものであるかを、聖徒たちに知らせようと望まれました。この奥義とは、あなたがたの内におられるキリストであり、栄光の望みです。28.わたしたちはこのキリストを告げ知らせ、あらゆる知恵をもってあらゆる人を諭し、あらゆる人を教えているのです。それは、わたしたちが、あらゆる人をキリストにあって充分に成長したものとして、(神の)御そばに立たせるためなのです。29.わたしはこのことのために、わたしの内に力強く働くキリストの力によって奮闘しながら働いているのです。




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ὅς ἐστιν εἰκὼν τοῦ θεοῦ τοῦ ἀοράτου,
πρωτότοκος πάσης κτίσεως(15)
『御子は、見えない神の姿であり、すべての被造物より先に生まれた方です』

この聖句は、よく誤解を招く聖句です。ある宗教団体が好んで用いる聖句で、これによってイエスの被創造性を証明しようとし、イエスの神性を否定しようとします。この πρωτότοκος (プロートトコス/長子・first born)が、文字どうり『先に生まれた』ということをパウロが言おうとしているのか、前後の文脈を精読する必要があります。
この πρωτότοκος πάσης κτίσεως(すべての被造物より先に生まれた)という句は通常の「…が生まれた」を意味するものではなく、むしろ、「すべて造られたものより前に(すでに)存在しておられた方」と御子の先在的権威を表すと理解するのが正しいのです。この事は17節によって、一層明確となります。

καὶ αὐτός ἐστιν πρὸ πάντων
καὶ τὰ πάντα ἐν αὐτῷ συνέστηκεν (17)
「彼は万物より前に存在しており、万物は彼によって成り立っている」(17節) 


17節は明らかにパウロが述べる御子に関する一連の説明の中で、15節を補足するものとなっています。つまり17では英語のbe動詞にあたる ἐστιν(彼は~である)のみを使用することによって「彼は万物より先に存在しており、~」と言ったのです。さらに、18節でも、ὅς ἐστιν ἀρχή (彼は初めにおられた方と言い、これはヨハネによる福音書1章の冒頭の「初めに」と同じ言葉を引用して、御子の永遠性を再確認したのです。
以上のように、パウロがコロサイ1章で述べている御子(キリスト)は、時間の概念を超えた永遠の存在者について語っていることに注意を払わなければなりません。
聖句を正しく解釈する場合は、必ず文脈全体の中で、パウロは何を言わんとしているかを正しく理解する必要があります。ついでに、18節でも、πρωτότοκος ἐκ τῶν νεκρῶν(死者たちの中から最初に生まれた方)と、15節と同じπρωτότοκος =『生まれた』、が出てきますが、これが、『生まれた』と文字通り解釈する人はいなく、『死者たちの中から復活された方』と解釈するでしょう。15節も同様で、文字通り『生まれた方』とは解釈しないのです。




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