2013年3月25日月曜日

新約聖書原典「マタイによる福音書」28章の翻訳(私訳)

マタイによる福音書 

28章


1.安息日が終わり、週の初めの日の明け方、マグダラのマリアとほかのマリアとが墓を見に行くと、2.見よ、大きな地震が起こり、主の使いが天から降りて来て近づき、石をわきへ転がしてその上に座った。3.その姿は稲妻のようで、その衣は雪のように白かった。4.(墓の)番をしていた者たちは、その恐ろしさの余り震えて死人のようになった。5.すると天使が答えて婦人たちに言った。「恐れるな、あなたがたが、十字架にかけられたイエスを探していることは分かっている。6.彼はここにはおられない。かねてから言われていたように復活されたからである。来て、(遺体が)置かれてあった場所を見なさい。7.そして急いで行ってイエスの弟子たちに『彼は死者たちの中から復活させられた。そして見よ、彼はあなたがたより先にガリラヤへ行かれる。そこで彼に会えるだろう』と言いなさい。確かにわたしはあなたがたに伝えました」。
8.そこで彼女たちは恐れと大きな喜びを抱いて、急いで墓から立ち去り、イエスの弟子たちに知らせるために走った。9.すると見よ、イエスが彼女たちに出会われ、「喜べ」と言われた。彼女たちは(イエスに)近寄り、その両足を抱いてイエスにひれ伏した。10.そのときイエスは彼女たちに言われた。「恐れるな、行ってわたしの兄弟たちにガリラヤへ行くようにと伝えなさい。そこでわたしに会えるだろう」。
11.しかし、彼女たちがまだ途上にあるとき、番兵のある者たちが町へ行き、祭司長たちにそのすべての出来事を知らせた。12.そこで祭司長たちは長老たちと共に集まって協議し、兵卒たちに多額の銀貨を与えて、13.「『イエスの弟子たちが夜来て、遺体を我々が寝ている間に盗んだ』と言え。14.そしてもし、総督にこの事を知られても、我々が[総督を]説き伏せ、お前たちには心配をかけないようにしよう」と言った。15.そこで兵卒たちは銀貨を受け取り、教えられたとおりにした。そしてこの話は今日に至るまで、ユダヤ人たちの間に広まっている。

16.十一人の弟子たちはガリラヤへ行き、イエスが彼らに指示された山に登った。17.そしてイエスを見て拝した。しかし、彼らは疑った。18.イエスは彼らに近づいて来て言われた。「わたしは天においても地においても、全ての権威を授かった。19.だからあなたがたは行って、すべての諸国民を弟子とし、父と子と聖霊との名によって彼らにバプテスマを施し、20.わたしがあなたがたに命じたすべてのことを守るように教えなさい。見よ、わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいるのである」。

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●「自然の中で聴く聖書」マタイによる福音書  28章


★「その両足を抱いてイエスにひれ伏した」(9)
  「抱いて」は、「ぎゅっと捕まえて」の意。イエスが離れていかないように、両足を引き留めて歩いて行かせないようにする彼女たちのただならぬ思いが込められている。
  οἱ δὲ ἐδίστασαν (17)
「しかし、彼ら(弟子たち)は疑った」
イエスが復活された後、ガリラヤ地方のある山上で弟子たちとイエスが再会をするこの場面は、弟子たちにとって夢心地のような理解しがたい心境であったに違いない。ほとんどの訳では、「弟子たちのある者は~」と訳していて、一部の者が疑っていた、とあるが、原文はそのようには表現していない。 οἱ は「弟子たち」を指し、一部の者か全部の者かをこれだけで判断することはできない。そのままの意味は、あくまで 「弟子たちは(複数)」 なのである。




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