2023年7月4日火曜日

 


原典に忠実な個人訳(前田滋彦訳)新約聖書がついに完成しました。内容は先に出しておりました電子版(4版)と同じです。サイズ(128mm×182mm×30mm:B6版)511ページ。

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2020年7月29日水曜日

「新約聖書 前田滋彦訳」第4版(電子書籍/¥490)が発売されました。

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本新約聖書は新約聖書本文に最も近いとされるネストレ=アーラント第28版(最新版)を底本としたギリシア語原典からの前田滋彦による個人訳です。聖書翻訳はそのみ言葉の解釈が基本となる作業ですから、翻訳者の解釈や意見がある程度、翻訳内容に反映するのはある意味当然なことでもあります。その意味で、聖書の個人訳を世に出すことには大きなためらいもありましたが、原典に限りなく忠実な翻訳に重点を置いて翻訳しました。今回出版しました電子版はその第四版で、初版から三度の完全読み直しを進め、今回の改訂版を出すに至りました。

翻訳上の留意点としては、①可能な限り原典に忠実に訳す、②名詞の意味が広がる場合は、前後の文脈から意味を決定する、③時間、距離、数量、貨幣などは今日の単位にできるだけ置き換える、または文中にて《 》内で説明、④テキストが明らかに言葉を省略していると思われる場合は、意味を明確にするため、その言葉を(  )で補って訳す。ただし( )内を飛ばして読むことも可能、⑤名詞が複数形で現れる場合に、それが重要な意味を持つ場合は複数として訳す、などです。また本文中のところどころに現れる[ ]内の語句は、今日の聖書本文批評家が、ギリシア語聖書本文または写本のその部分のテキストの真正性に完全な確信を持っていないことを示しています。

新約聖書 前田滋彦訳」(Kindle版 \490)はアマゾンの通販サイトからお求めいただけます

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2017年8月20日日曜日

新約聖書原典「ユダの手紙」の翻訳(私訳)

ユダの手紙 



1.イエス・キリストの僕、ヤコブの兄弟であるユダから、父であられる神に愛され、イエス・キリストによって召され、守られている人々へ。2.憐れみと、平安と、愛が、あなたがたに増し加えられるように。
3.愛する者たちよ、わたしたちが共にあずかる救いについては、早急にあなたがたに書き送りたいと願っていて、聖徒たちにひとたび授けられた信仰のために戦うようにと、わたしはあなたがたに手紙を書いて勧めをなす必要があると感じました。4.というのは、ある者たち、すなわち、不敬神な者たちが忍びこんで来て、わたしたちの神の恵みを不道徳なものに変え、唯一の君であり、わたしたちの主イエス・キリストを否定しているからです。彼らが裁きを受けることは、昔から予告されていたのです。
5.あなたがたはみな知っていることですが、イエスは、民をエジプトの地から救い出し、その後、信じなかった者たちを滅ぼされたことを思い出してもらいたいのです。6.また、自分たちの領分を守らず、自らの住まいを捨て去ってしまった天使たちを、大いなる日の裁きのために永久の鎖で縛り、暗黒の下に閉じ込めて置かれました。7.ソドムとゴモラと周辺の町々も、これらの天使たちと同様であって、淫行に身をゆだね、不自然な肉欲を追い求めたので、永遠の火の刑罰を受け、見せしめにされています。
8.それにもかかわらず同様に、これら夢を見る者たちは肉体を汚し、尊厳を無にし、栄光を汚しているのです。9.しかし、天使長ミカエルは、モーセの遺体のことで悪魔と議論して裁決した時、相手を敢えてののしり裁くことをしないで、「主がお前を戒めてくださるように」と言いました。10.しかし、これらの者たちは自分の知りもしないことをののしり、理性のない動物のように本能的に知っているだけであって、それらのことによって破滅を招いているのです。11.ああ、彼らはなんと悲しいことか。彼らはカインの道を行き、利益のためにバラムの欺きに浸り、コラの反逆によって滅んで行くのです。12.これらの者たちは、あなたがたの愛餐に恐れもなく同席するシミ、自分自身を養う者、風に運び去られる乾いた雲、実を結ばず根こそぎ引き抜かれて枯れてしまった秋の木々、13.自分たちの恥を泡立たせる海の荒波、さまよう星々です。彼らには真っ暗闇が永遠に残されているのです。
14.アダムから七代目にあたるエノクも、このことについて預言して言いました。「見よ、主は無数の聖なる者たちを伴って来られる。15.それは、すべての者たちに対して裁きを行うためであり、不敬虔な行いをした者たちのすべての不敬虔な行いと、不敬虔な罪人たちが主に逆らって語ったすべての暴言について、すべて命ある者をとがめるためである」。16.これらの者たちは始終不平をつぶやく者であり、自分たちの欲望のままに生活し、彼らの口はごう慢な言葉を語り、自分の利益のために人を分け隔てする者たちです。
17.しかし、愛する者たちよ、あなたがたは、わたしたちの主イエス・キリストの使徒たちによってあらかじめ語られた言葉を思い出しなさい。18.すなわち、彼らはあなたがたにこう言ったのです。「終わりの時に、あざける者たちが現れて、自分の不敬神な欲望のままに生活するでしょう」と。19.これらの者たちは、分派を作る者、肉に属する者、御霊を持たない者たちです。
20.しかし、愛する者たちよ、あなたがたはその聖なる信仰によって自分たちを築き上げ、聖霊によって祈り、21.神の愛によって自分を守り、永遠の命に導いてくださるわたしたちの主イエス・キリストの憐れみを待ち望みなさい。22.ためらっている人々を憐れみ、23.彼らを火の中から力ずくで救ってやりなさい。彼らを畏れの心をもって憐れみなさい。肉に汚れている者に対しては、下着さえも忌み嫌いなさい。

24.あなたがたを、つまずくことのない者として守り、その栄光の御前に傷のない者として大きな喜びのうちに立たせてくださることのできる方に、25.すなわち、わたしたちの救い主であられる唯一の神に、わたしたちの主イエス・キリストを通し、栄光、尊厳、力、権威が、永遠の昔から、今も、また永遠に至るまで、いつまでもありますように、アーメン。



2017年7月26日水曜日

新約聖書原典「ヤコブの手紙」5章の翻訳(私訳)

ヤコブの手紙 

5章


1.富んでいる人たちよ、さあ、聞きなさい。あなたがたにふりかかろうとする困窮を思って、泣きわめきなさい。2.あなたがたの富は朽ち果て、あなたがたの衣服は虫に食われ、3.あなたがたの金銀はさびている。それらのもののさびは、あなたがたの(不義)の証拠となって、あなたがたの肉を火のように食い尽すでしょう。あなたがたはこの終わりの時にあって、なお宝を蓄えているのです。4.見よ、あなたがたの畑を刈り取った労働者たちから、あなたがたが搾取した彼らの賃金が叫んでいます。そして、刈り入れをした人たちの叫びが、『万軍の主の耳に』入りました。5.あなたがたは地上で贅沢三昧に暮らし、快楽にふけり、『ほふられる日のために』自分の心を肥やし、6.正しい人を罪に定めて殺したのです。その人はあなたがたに抵抗しない。
7.だから兄弟たちよ、主が来られるまで耐え忍びなさい。見よ、農夫は、前の雨と後の雨があるまで、地の尊い実りを忍耐しながら待つのです。8.あなたがたも、主の来臨が近づいているので、あなたがたの心を強くし、忍耐して待っていなさい。9.兄弟たちよ、互いに不平を言ってはいけません。それは裁きを受けることのないためです。見よ、裁く方が戸口の前に立っておられます。10.兄弟たちよ、主の名によって語った預言者たちを、苦難と忍耐の模範としなさい。11.耐え忍んだ人たちは幸いだと、わたしたちは思います。あなたがたはヨブ(の忍耐)のことを聞いたことがあるでしょう。そして、主が(彼になさった)結末を見て、主は情け深く、あわれみに満ちた方であることがわかったでしょう。
12.さて、わたしの兄弟たちよ、何よりも先ず、誓ってはなりません。天や地を指して誓っても、あるいはその他、どんな誓いもしてはなりません。あなたがたは「然り」は「然り」、「否」は「否」としなさい。それは、あなたがたが裁きにあうことのないためです。
13.あなたがたの中で、苦しんでいる人がいれば、その人は祈りなさい。元気な人がいれば、讃美の歌をうたいなさい。14.あなたがたの中で、病んでいる人がいれば、その人は教会の長老たちを招き、油をその身に塗ってもらい、主の名によって祈ってもらいなさい。15.信仰による祈りは病んでいる人を救い、主がその人を立ち上がらせてくださいます。また、その人が罪を犯していれば、赦されるでしょう。16.だから、互いにもろもろの罪を告白し合い、癒されるように、互いのために祈りなさい。ただしい人の祈りは働いて、大きな効力を持ちます。17.エリヤはわたしたちと同じような人間でしたが、雨が降らないようにと祈ったところ、三年六か月の間、地上に雨が降らなかったのです。18.また再び祈ったところ、天が雨を降らせ、地はその実をみのらせました。

19.わたしの兄弟たちよ、もし、あなたがたの中に真理から迷い出た人がいて、だれかがその人を(真理へ)連れ戻すなら、20.迷いの道から罪人を連れ戻した人は、その罪人のたましいを死から救い、多くの罪を覆うことになると知りなさい。

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●「自然の中で聴く聖書」ヤコブの手紙 5章1~11節
●「自然の中で聴く聖書」ヤコブの手紙 5章12~20節


2017年7月10日月曜日

新約聖書原典「ヤコブの手紙」4章の翻訳(私訳)

ヤコブの手紙 

4章


1.あなたがたの間の戦いはどこから来るのですか。また争いはどこから来るのですか。ほかでもなく、あなたがたの肢体の内にある、戦いをいどもうとする欲望からではありませんか。2.あなたがたは欲するが得られず、人を殺すのです。熱望するが獲得できず、争ったり戦ったりするのです。あなたがたは求めないから、得られないのです。3.あなたがたが求めても得られないのは、自分たちの欲望のために使おうと、悪い求め方をするからです。4.不貞な者たちよ、世を友とするのは神に敵することだ、ということを知らないのですか。世の友になりたいと欲する者は、神の敵とされるのです。5.それとも、「神は、わたしたちの内に住まわせた霊を、ねたむ程に慕っておられ、さらに豊かに恵みを与えられる」と聖書が言う言葉は空しいと思うのですか。6.ですから、こう言っています。
『神は、高慢な者たちには敵となり、
謙遜な者たちには恵みを与えられる。』
7.だから、神に服従し、悪魔に抵抗しなさい。そうすれば、悪魔はあなたがたから逃げていくでしょう。8.神に近づきなさい。神もあなたがたに近づいてくださいます。罪深い者たちよ、手を清めなさい。ふた心の者たちよ、心を清めなさい。9.嘆き悲しみ、泣きなさい。あなたがたの笑いを悲しみに、喜びを憂いに変えなさい。10.主の御前に低くなりなさい。主はあなたがたを高めてくださるでしょう。
11.兄弟たち、互いに悪口を言ってはいけません。兄弟の悪口を言ったり、自分の兄弟を裁いたりする者は、律法をののしり、律法を裁くことになるのです。もし、あなたが律法を裁くなら、あなたは律法を行う者ではなく、むしろ律法を裁く者なのです。12.律法を制定され、また裁きを行う方はお一人であって、この方が救うことも滅ぼすこともお出来になるのです。隣人を裁くあなたは、いったい何者ですか。

13.「今日か明日、これこれの町へ行ってそこで一年間過ごし、商売をしてひと儲けしよう」と言う者たちは、よく聞きなさい。14.あなたがたには、自分の命がどうなるのか、明日のことは誰にもわからないのです。あなたがたは、わずかの間現れ、その後は消えて行く霧にすぎません。15.その代わりに、あなたがたは、「主の御心ならば、これからも生きて、このこともあのこともしよう」と言うべきです。16.しかし、今、あなたがたは、誇り高ぶっています。そのような誇りは、すべて悪です。17.ですから、なすべき善を知りながら行わないのは、その人にとって罪なのです。

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●「自然の中で聴く聖書」ヤコブの手紙 4章

★4節の「不貞な者たちよ」=「不貞のやからよ」は、生ける神を裏切って偶像を拝むものたち、神に背いた者たちに呼びかける、ヘブライ的表現。



2017年7月4日火曜日

新約聖書原典「ヤコブの手紙」3章の翻訳(私訳)

ヤコブの手紙 

3章


1.わたしの兄弟たちよ、多くの者たちは、教師になってはいけません。わたしたちは、より一層の厳しい裁きを受けることを知っているからです。2.わたしたちはみな、多くの過ちを犯します。もし、言葉の上で過ちがないなら、その人は、全身をも制御することのできる完全な人です。3.馬を御するために、馬の口にくつわをはめれば、その全身を引きまわすことができます。4.また、船を見なさい。あのように大きいですが、強風に吹きつけられても、小さな舵によって、舵取りは、進みたいと思う方向へと導くのです。5.このように、舌も小さな器官ですが、大言壮語します。見なさい、どんなに小さな火でも、大きな森林を燃やしてしまうのです。6.舌は火です。不義の世界です。舌は、わたしたちの体の器官の一部として備わっているものですが、全身を汚し、生存の車輪を燃やし、ゲヘナの火によって焼かれます。7.あらゆる自然の獣も、鳥も、は虫類も、海の生物も、人類によって制せられているし、また、制せられてきました。8.しかし、舌を制することのできる人は一人もいません。舌はしずめようのない悪であって、死をもたらす毒に満ちています。9.わたしたちは舌で、父でもある主を讃美し、またその舌で神に似せて造られた人々を呪っているのです。10.その同じ口から、讃美と呪いが出て来るのです。わたしの兄弟たち、このようなことは、あってはなりません。11.泉が、同じ穴から、甘い水とにがい水とを湧き出させることができるでしょうか。12.わたしの兄弟たち、いちじくの木がオリーブの実を、ぶどうの木がいちじくの実を結ぶことができるでしょうか。塩水も甘い水を生じることはできません。

13.あなたがたの中で、知恵があり、物わかりのよい人は誰ですか。その人は、自分の知恵のある柔和な行いを、良い振る舞いによって示しなさい。14.もし、あなたがたの心の中に、にがにがしいねたみや党派心があっても、自慢したり、真理に逆らってうそを言ったりしてはいけません。15.そのような知恵は、上から下って来たものではなく、地に属する知恵であり、肉に属するもの、悪魔に属するものです。16.ねたみや党派心がある所には、騒乱とあらゆる悪い出来事がおこります。17.しかし、上からの知恵は、第一にきよく、次に平和に満ち、寛容で、従順で、憐れみと良い実に満ちており、偏見がなく、偽りがありません。18.そして義の実が、平和を作り出す人々によって、平和の内にまかれるのです。

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●「自然の中で聴く聖書」ヤコブの手紙 3章

「生存の車輪を燃やし…」6節
人の生まれてから死ぬまでの車輪の一回転に例えて、人のせっかくの一生を燃やして棒に振るの意。