2016年11月18日金曜日

新約聖書原典「ローマの人々への手紙」14章の翻訳(私訳)

ローマの人々への手紙 

14章


1.信仰の弱い人を受け入れなさい。さまざまな意見を批判してはいけません。2.ある人は何を食べてもよいと信じていますが、(信仰の)弱い人は野菜を食べます。3.食べる人は食べない人を軽んじてはならず、食べない人も食べる人を裁いてはいけません。神がその人を受け入れてくださったからです。4.他人の僕を裁くあなたはいったい何者ですか。彼が立つのも倒れるのも、自分の主人によるのです。彼はやがて立たせていただけるでしょう。主はその人を立たせることがお出来になるからです。5.ある人は、ある日が他の日よりも良いとし、ある人はどの日でも良いとします。各自は自分の理解するところに基づいて確信していなさい。6.日を重んじる人は、主のために重んじる。食べる人は、主のために食べる。彼は神に感謝しているからです。食べない人も、主のために食べない。彼も神に感謝しているからです。7.だれも自分のために生きる者はなく、自分のために死ぬ者もいない。8.わたしたちが生きるのも主のために生き、わたしたちが死ぬのも主のために死ぬのです。わたしたちが生きるにしても死ぬにしても、わたしたちは主のものだからです。9.そのために、キリストは死んで、また生きられたのです。それは、死んだ者たちと生きている者たちの主となられるためです。10.それなのに、なぜ、あなたは自分の兄弟を裁くのですか。あるいは、なぜ、自分の兄弟を軽んじるのですか。実に、すべての者はみな、神の裁きの座の前に立つことになるのです。11.こう書かれているからです。
『わたしは生きている。
すべての膝は、わたしに対してかがみ、
すべての舌は、神をほめたたえるであろうと
主は言われる。』
12.だからこそ、わたしたち一人ひとりは、自分について[神に対し]申し開きをすることになるのです。

13.ですから、今後、わたしたちは、互いに裁き合わないようにしましょう。兄弟に対し、妨げとなるものや、つまずきとなるものを置かないようにと決心しなさい。14.それが汚れていると思う人は別ですが、それ自体で汚れたものは一つもないと、わたしは主イエスにあって知り、また確信しています。15.あなたの兄弟が食物のことで心を痛めているなら、もはや、あなたは愛に添って生活してはいないのです。食物のことで、あなたの兄弟を滅ぼしてはいけません。この兄弟のためにも、キリストは死なれたのです。16.ですから、あなたがたの善が、(神の御名を)汚すことのないようにしなさい。17.神の国は飲み食いではなく、聖霊による義と平和と喜びです。18.こうして、キリストに仕える人は神に喜ばれ、人々にも信頼されます。19.ですから、平和と互いの徳を築くことを追い求めようではありませんか。20.食物のために、神の働きを無駄にしてはいけません。すべてのものは清い。しかし、食べて人をつまずかせるなら、それはその人にとっては悪となります。21.肉を食べず、酒も飲まず、そのことであなたの兄弟がつまずかないのは良いことです。22.あなたが持っている信仰を、神の御前で、自分自身のために持っていなさい。自分が正しいと決めたことで、自分を非難しない人は幸いです。23.疑いながら食べる人は、罪に定められます。なぜなら、信仰によらないからです。すべて信仰によらないことは罪です。


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ὁ δὲ ἀσθενῶν λάχανα ἐσθίει(2)
「しかし、弱い人は野菜を食べる」

「野菜だけ」とは言っておらず、「野菜を食べる」である。


ὁ φρονῶν τὴν ἡμέραν κυρίῳ φρονεῖ(6)
 「その日を重んじる人は、主のために重んじる」
 
 ὁ φρονῶν(重んじる人)は、その日を神聖なものとして守る者のこと。

★「それ自体で汚れたものは一つもないと、わたしは主イエスにあって知り、また確信しています。それが汚れているのと思うなら、それは、その人にとっては汚れているのです。」(14)

14節は上のようにも訳せる。「汚れ」と訳されているギリシア語は κοινός である。この言葉は「不潔」や一般的汚れを意味するのではなく、ユダヤ的用法であって、「世俗的汚れ」「不浄」などを意味し、「聖」の反意語として使われる。これが「食物」とか「肉」という口に入るものの関係の中で使われる場合は、「偶像への捧げものとしての肉」を指すことが多い(1コリント10:25~28、使徒10:14参照)。ゆえに14節はそういう文脈の中で読む必要がある。

★「すべてのものは清い

ここでの清さは祭儀的清さのこと。14節からの文脈から推察される。ティトス1:15も参照のこと。




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