2016年9月19日月曜日

新約聖書原典「ローマの人々への手紙」1章の翻訳(私訳)

ローマの人々への手紙 


1章


1.キリスト・イエスの僕、神の福音のために召され分かたれた使徒パウロ、2.この福音は、聖書の中に、その預言者たちを通してあらかじめ約束されたもので、3.御子に関することです。御子は、肉によればダヴィデの子孫から生まれ、4.聖なる霊によれば、死人たちの中からの復活によって、力ある神の御子と定められました。この方がわたしたちの主イエス・キリストです。5.わたしたちは、この方によって、恵みと使徒の務めを授かりました。それは、その方の御名のために、すべての国々の中に信仰の従順をもたらすためなのです。6.あなたがたも彼らの中にあって、イエス・キリストに召された者たちなのです。7.ローマにいる神に愛され召されたすべての聖徒たちへ。
わたしたちの父であられる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とがあなたがたにあるように。
8.まず初めに、あなたがた一同について、イエス・キリストにより、わたしの神に感謝します。というのは、あなたがたの信仰が全世界に告げ知らされているからです。9.神がわたしの証人なのですが、わたしが神の御子の福音を宣べ伝えるときには、心から神に仕え、いつもあなたがたのことを思い起こし、10.わたしの祈りの度にいつも、どうにかして、ついには、神のみこころによって幸運にもあなたがたのところに行くことができたらと願っています。11.わたしはあなたがたに会うのを熱望しています。それは、あなたがたに霊の賜物をいくらかでも分け与えて、あなたがたを強めたいためです。12.そうして、あなたがたとわたしの互いの信仰によって、共に励まし合いたいのです。13.兄弟たちよ、(このことを)知らないでいてほしくはありません。すなわち、わたしは、ほかの異邦人たちの間でも得たように、あなたがたの間でも幾らかの実を得るために、あなたがたのところに行こうと何度も企てましたが、今まで妨げられてきました。14.わたしは、ギリシア人たちにも、未開の人々にも、知恵ある人々にも、知恵のない人々にも、責任を負う者です。15.わたしの切なる願いは、ローマにいるあなたがたにも福音を告げ知らせることです。
16.わたしは福音を恥としない。それは、ユダヤ人を始めギリシア人にも、すべて信じる者に救いをもたらす神の力だからです。17.実に、神の義は福音の中に啓示されていて、信仰から出て信仰に至らせます。『義人は信仰によって生きる』と書かれているとおりです。
18.神の怒りは、不義によって真理を阻止する人間たちのあらゆる不信仰と不義とに対して天から啓示されています。19.なぜなら、神について知り得ることがらは、彼らには明白であり、神は彼らに(ご自分を)明らかに示されたからです。20.神の見えないご性質、すなわち、その永遠の力と神聖とは、世界の創造以来、被造物において知られ、はっきりと認められていて、彼らには弁解の余地がありません。21.なぜなら、彼らは神を知りながら神として崇めず、感謝もせず、むしろ、彼らの思いは空しくなり、彼らの無知な心は暗くなったからです。22.彼らは、自分は賢いと断言しながら、愚か者となり、23.神の朽ちない栄光を、朽ちる人間や鳥たち、四足の獣たち、這うものたちの像に似たものに取り替えたのです。
24.それゆえに神は、彼らをその心の欲望によって、自分たちの体を互いにはずかしめ、汚すに任せられました。25.彼らは神の真理を虚偽に替え、創造者の代わりに被造物を拝しこれに仕えました。創造者こそが、永遠にほめたたえられるべき方です。アーメン。
26.それゆえに、神は彼らを恥ずべき情欲に任せられました。すなわち、彼らの女たちは、自然な交わりを不自然なものに変え、27.同じく、男たちも女との自然な交わりを捨て、互いにその情欲を燃やし、男たちは男たちに対し不適切な行為を行い、彼らの誤りに対する当然の報いを自分たちの身に受けているのです。

28.そして、彼らが神を知ろうとしなかったので、神は彼らを無意味な考えに引き渡し、ふさわしくないことを行うようにされました。29.彼らは、あらゆる不義と悪と貪欲と悪意にあふれる者、ねたみ、殺人、不和、たくらみ、陰険に満ち、悪口を言う者、30.そしる者、神を嫌う者、ごう慢な者、高慢な者、虚栄を張る者、悪をたくらむ者、両親に逆らう者、31.物分かりのない者、裏切る者、無情な者、無慈悲な者たちです。32.彼らは、このようなことを行う者たちが死に値するという神の定めを知っていながら、これらのことを(自ら)行っているだけでなく、行っている者たちを是認しているのです。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
●自然の中で聴く聖書『ローマの人々への手紙 1章』
https://www.youtube.com/watch?v=T4ePHbHquPk


★「神の義は、福音の中に啓示されていて…」(17)
  「神の怒りは、…天から啓示されています」 (18)

太字の部分はいずれも原典は動詞の現在形が使用されている。ゆえに、神の義も、神の怒りも、現在のこととして理解する必要がある。

★「彼らの思いは空しくなり…」(21)
  「彼らの無知な心は暗くなったからです」(21)

太字の部分の動詞は原典では過去形、受動態で書かれている。ゆえに、「空しくされ」「暗くされた」と訳すのがより正確。つまり、神がそうされたのである。このことは24節以下の、「神は彼らを…汚すに任せられた」(24)、「神は彼らを…恥ずべき情欲に任せられた」(26)、「神は彼を無意味な考えに引き渡し、してはならないことをするようにされた」(28)の文脈と一致する。



0 件のコメント:

コメントを投稿