2015年4月21日火曜日

新約聖書原典「使徒たちの働き」21章の翻訳(私訳)


使徒たちの働き 

21章


1.わたしたちは彼らに別れを告げてから船出してコスへ直航し、それから次の日にロドスへ、そこからパタラへ行った。2.そして(そこで)フェニキア行きの船を見つけたので、それに乗って船出した。3.そしてキプロス島が見えてきたが、わたしたちはそれを左に見て通り過ぎ、シリアへ向かって船を走らせ、ティルス(の港)に到着した。ここで船が荷物を陸揚げすることになっていたからである。4.わたしたちは弟子たちを探し出して、その家に七日間泊まった。弟子たちは霊によって、「エルサレムには行かないように」と何度もパウロに言った。5.しかし、滞在期間が過ぎたとき、わたしたちが旅立とうとしていると、弟子たちは皆、婦人たちや子供たちも連れて(ティルスの)町の外までわたしたちを見送りに来てくれた。そして共に海岸でひざまずいて祈り、6.互いに別れの挨拶をしてから、わたしたちは船に乗り込み、その人たちは自分の家に帰って行った。
7.わたしたちはティルスから航海を続けプトレマイスに着いた。そして兄弟たちに挨拶をして、彼らのところに一日滞在した。8.翌日、わたしたちはそこを出てカイサリアに行き、七人の中の一人である伝道者フィリポの家に行ってそこに泊まった。9.この人には四人の未婚の娘たちがいたが、彼女たちは預言をしていた。10.幾日も滞在していたが、ユダヤからアガボという名の預言者が下ってきて、11.わたしたちのもとに来て、パウロの帯を取り上げ自分の両足と両手を縛って言った。「聖霊がこう言っておられます。『この帯を締めている人を、ユダヤ人たちがエルサレムでこのように縛って、異邦人たちの手に引き渡そうとしています』」。12.わたしたちはこれを聞き、わたしたちも地元の人々も、パウロにエルサレムには上っていかないようにとしきりに頼んだ。13.そのときパウロが答えて言った。「どうしてあなたがたは、泣いたりわたしの心をくじいたりするのですか。わたしは主イエスの名のためなら、エルサレムで縛られるだけでなく、死ぬことも覚悟しているのです」。14.彼が聞き入れようとしなかったので、わたしたちは「主の御心がなりますように」と言って黙ってしまった。
15.数日後、わたしたちは旅の準備をしてエルサレムへ上って行った。16.カイサリアから、弟子たちもわたしたちに同行して、キプロス出身の早くからの弟子で、ムナソンという人の家に泊まれるように案内してくれた。
17.わたしたちがエルサレムに着くと、兄弟たちはわたしたちを喜んで迎えてくれた。18.翌日、パウロはわたしたちと一緒にヤコブのところへ行くと、長老たちが皆集まっていた。19.パウロは彼らに挨拶をしてから、自分の働きを通して神が異邦人たちの間でなさったことを逐一報告した。20.長老たちはこれを聞いて神を賛美してパウロに言った。「兄弟よ、ご存知のように、ユダヤ人の中には信者となっている者が幾万もいて、みな律法を熱心に守っています。21.しかし、彼らがあなたについて聞かされていることは、あなたは、異邦人たちと一緒に(住んで)いる全てのユダヤ人たちに対して、『子供たちには割礼を施すな、慣例には従うな』と言って、モーセ(の律法)に反したことを教えているということです。22.それで、どうでしょうか。あなたが来ておられることは、みんなの者にいずれ知れわたるでしょう。23.ですから、わたしたちの言うとおりにおこなってください。わたしたちのところには、誓願を立てた者が四人います。24.この人たちを連れて、彼らと一緒に清めを受け、彼らのために頭をそるための費用を払ってやってください。そうすれば、全ての者たちが、あなたについて聞かされていることが根も葉もないことで、あなたが律法を守って模範的な生活をしていることを知るでしょう。25.しかし、異邦人で信者となった人たちについては、偶像に捧げられたものと、血と、絞め殺した動物の肉と、不品行とを避けるようにと決められていますので、(それを守るようにと)彼らに手紙を書き送りました」。26.そこでパウロはその四人を連れて、次の日、彼らと一緒に清めを受けて神殿に入り、清めの期間が満ちる日、すなわち彼ら各自のために捧げものを捧げる日がいつであるかを告げた。
27.さて、七日の期間が満ちようとしていた時、アジアから来たユダヤ人たちが神殿の庭でパウロを見つけ、全ての群衆を扇動し、彼に手をかけて、28.叫んだ。「イスラエルの諸君、手伝ってくれ。この男は民衆と律法とこの場所に反することを、いたるところで皆に教えている者だ。その上、ギリシア人たちをも神殿に連れ込んで、この聖なる場所を汚している」。29.彼らは前に、エフェソ人のトロフィモが都でパウロと一緒にいるのを目撃していて、その彼を、パウロが神殿に連れ込んだと思ったからである。30.それで、都全体が大混乱となり、群衆が駆け寄りパウロを捕らえて彼を神殿の外に引きずり出した。そしてすぐに門が閉められた。31.彼らがパウロを殺そうともくろんでいたとき、エルサレム中が混乱状態に陥っていることがローマ歩兵隊の千人隊長のもとに届いた。32.千人隊長はただちに、兵隊たちと百人隊長たちを率いて彼らのところへ駆けつけた。ところが、人々は千人隊長と兵隊たちを見て、パウロを打ちたたくのをやめた。33.千人隊長はパウロに近寄って捕らえ、二本の鎖で縛るよう命じた。そして彼が誰で、何をしたのかを尋ねた。34.しかし、群衆の中のある者たちはこのことを、他の者はあのことを叫んでわめきたてたため、彼について正確なことを知ることができなかったので、千人隊長はパウロを兵営に連れて行くように命じた。35.しかし、パウロが(兵営の)階段にさしかかったとき、群衆の暴力から(身を守るために)パウロは兵卒たちによって担がれて行くという始末であった。36.大勢の群衆が、「彼を上げてしまえ」と叫びながらついて来ていたからである。

37.兵営の中に連れ込まれようとしたとき、パウロが千人隊長に、「ひと言お話してもよろしいでしょうか」と言った。すると千人隊長が言った。「お前はギリシア語を知っているのか。38.それなら、お前は近ごろ謀反を起こして、四千人の刺客を連れて荒野に逃げたあのエジプト人ではないのか」。39.しかし、パウロは言った。「わたしはユダヤ人で、キリキアのタルソス出身のれっきとした町の市民です。お願いしますが、わたしが民衆に話をするのをお許しください」。40.千人隊長がそれを許したので、パウロは階段の上に立ち、民衆に(静まるよう)手で合図をした。民衆が静まり返ったので、パウロはヘブライ語で呼びかけて言った。


●「自然の中で聴く聖書」使徒たちの働き 21章



今日の、エルサレム神殿跡

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