2014年8月25日月曜日

新約聖書原典「使徒たちの働き」5章の翻訳(私訳)



使徒たちの働き 

5章


1.しかし、アナニアという名の男は、その妻サフィラと共に財産を売ったが、2.妻も承知の上でその代金をごまかし、その一部を持って来て使徒たちの足元に置いた。3.そこでペトロが言った。「アナニアよ、なぜサタンに心を奪われ、聖霊を欺いて土地の代金をごまかすのか。4.残しておいてもあなたのものだし、売ってもあなたの自由になったではないか。どうしてこんなことをたくらんだのか。あなたは人を欺いたのではなく、神を欺いたのだ」。5.アナニアはこれらの言葉を聞くと、倒れて息絶えてしまった。そして、これを聞いた全ての人々に非常な恐れが生じた。6.若者たちは立って死体を(布で)包み、運び出して葬った。
7.三時間ほどたって、彼の妻がその出来事を知らないで入って来た。8.そこでペトロが彼女に言った。「わたしに言いなさい。あなたたちはこの値段で土地を売ったのですか」。彼女は言った。「そうです。その値段です」。9.ペトロは彼女に言った。「なぜ、あなたたちは示し合わせて、主の御霊を試みるのか。見よ、あなたの夫を葬った者たちの足が戸口にあって、あなたを運び出そうとしている」。10.すると、たちまち彼女はペトロの足元に倒れて息絶えた。若者たちは入って来て、彼女が死んでいるのを見て(死体を)運び出し、彼女の夫のそばに葬った。11.全教会と、これらのことを聞いたすべての人々に恐れが生じた。
12.また、使徒たちの手によって、多くの奇跡と不思議とが民衆の間で行われていた。そして、多くの人たちが、心を一つにしてソロモンの回廊に集まっていた。13.しかし、ほかの者たちは誰も、敢えて彼らに加わろうとはしなかったが、民衆は彼らを賞賛していた。14.しかし、主を信じる男女の数が、ますます増えていった。15.こうして遂には、人々は病人たちを大通りに運び出し、寝床や寝台に寝かせた。ペトロが通るとき、その影が病人たちの誰かにかかるようにするためであった。16.エルサレムの周辺の町々の群衆も集まり、病人たちや汚れた霊で苦しめられている者たちを連れて来たが、それらの者たちがみな癒されていた。
17.そこで大祭司は、その仲間の全サドカイ派の者たちと、ねたみに満ちて立ち上がり、18.使徒たちに手を下して、彼らを公共の牢に入れた。19.しかし、主の使いが夜、牢の扉を開け、彼らを連れ出して言った。20.「行って神殿の庭に立ち、これらの命の言葉すべてを民衆に語りなさい」。21.これを聞いて、彼らは夜明けに神殿の庭に入って教え始めた。さて、一方、大祭司は仲間たちと集まり、議会とイスラエルの子らの全長老会を召集し、使徒たちを連れて来させるために(下役たちを)牢に使わした。22.下役たちが(牢に)やって来たが、牢には彼らはいなかった。そこで彼らは帰って行って(そのことを)報告した。23.彼らはこう言った。「わたしたちは牢屋を見ましたが、すべての錠がかかっていて、扉の前には番人たちも立っていました。しかし、(扉を)開けて見ましたが、中には誰もいませんでした」。24.これらの言葉を聞いたとき、神殿の守衛長と祭司長たちは、これはいったいどうした事かと、使徒たちのことで非常に当惑した。25.すると、ある者がやって来て、彼らに、「ごらんなさい。牢に入れられた者たちが神殿の庭にいて、立って民衆を教えています」と告げた。26.神殿の守衛長は、下役たちと一緒に出て行き、使徒たちを連れて来たが、手荒なことはしなかった。民衆に石打ちにされないかと恐れていたからである。
27.それで、彼らは使徒たちを連れて来て議会に立たせ、大祭司が彼らに質問した。28.「お前たちには、この名によって教えてはならないと厳しく命じておいたではないか。それなのに見よ、お前たちはエルサレムを自分たちの教えで満たし、あの人の血(の責任)を、我々の上に負わせようとたくらんでいる」。29.ペトロと使徒たちは答えて言った。「人間に従うより、神に従うべきです。30.わたしたちの先祖の神は、あなたがたが木にかけて殺したイエスを復活させられました。31.神は、イスラエルに悔い改めを得させ、罪を赦すために、この方を導き手、また救い主としてご自分の右に上げられました。32.わたしたちはこれらの事の証人です。神がご自分に従う者たちにお与えになった聖霊も(これらの事の証人)です」。
33.これを聞いて人々は怒り狂って、使徒たちを殺してしまおうとたくらんだ。34.ところが、ファリサイ派の議員でガマリエルという名の人で、多くの民衆に尊敬されている律法の教師が議会の中で立ちあがり、その人たちに少しの間、外に出ているようにと命じてから、35.議員たちに言った。「イスラエルの諸君、諸君がこの人たちに何をしようとしているか注意を払っていただきたい。36.近ごろ、テウダが起こって、自分が何か偉い者のように言い、彼に加わった者たちが四百人ほどになったが、彼は殺され、彼に従った者たちも皆散らされ、跡形もなくなってしまった。37.その後、住民登録の時期、ガリラヤ人ユダが立ち上がり、民衆を率いて反乱を起こしたが、この人も殺され、彼に従った者たちも皆散らされてしまった。38.そこで今、わたしはあなたがたに言うのだが、あの人たちから手を引き、彼らを赦してやりなさい。もし、あの企てや行動が人間から出たものであれば、自滅するだろう。39.しかし、もし神から出たものであれば、あの人たちを止めることはできない。もしかすると、あなたがたは神を敵にまわすかも知れないのだ」。一同は彼(の忠告)に従い、40.使徒たちを呼び戻して、イエスの名において語ってはならないと命じ、鞭打ってから赦してやった。41.こうして使徒たちは、(キリストの)名のために恥とされるにふさわしい者とされたことを喜び、議会の前から立ち去った。42.それから毎日、使徒たちは、神殿の庭でも家でも、やめることなく教え、キリスト・イエスを告げ知らせていた。



●「自然の中で聴く聖書」使徒たちの働き 5章





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