2014年2月17日月曜日

新約聖書原典「ヨハネの黙示録」3章の翻訳(私訳)

ヨハネの黙示録 

3章


1.「サルディスにある教会の御使いに書きなさい。
『神の七つの霊と七つの星を持つ方がつぎのように言われる。わたしはあなたの業を知っている。あなたが生きているというのは名ばかりで、実は死んでいる。2.目を覚まして、死にかけている残りの者たちを力づけなさい。わたしは、あなたの行いが、わたしの神の御前に完全であるとは見ていない。3.だから、どのように受けたか聞いたかを思い出し、それを守り悔い改めなさい。だからもし、目を覚ましていないなら、わたしは盗人のように臨むだろう。わたしがいつあなたのところに臨むか、あなたには決して分からない。4.しかし、サルディスには自分の衣を汚さなかった者たちが数名いる。この人たちは白い衣を着て、わたしと一緒に歩むだろう。彼らはそれにふさわしい人たちなのだから。5.勝利する者は、このように白い衣を着るだろう。わたしは命の書からその名前を消すことは決してしない。わたしはその名を、わたしの父の御前とその天使たちの前で言い表そう。6.耳のある者は、御霊が諸教会に語ることを聞きなさい』。
7.フィラデルフィアにある教会の御使いに書きなさい。
『聖なる方、真実な方、ダヴィデの鍵を持つ方、この方が開けると誰も閉めることができず、閉めると誰も開けることができない方が、つぎのように言われる。8.わたしはあなたの業を知っている。見よ、わたしはあなたの前に、誰も閉めることができない開かれた扉を置いた。それは、あなたには少しばかりの力があって、わたしの言葉を守り、わたしの名を拒まなかったからである。9.見よ、わたしは、自分をユダヤ人だと称しながらー彼らは実はそうではなく偽っているのだがーサタンの会堂に属している者たちにこうしよう。見よ、彼らをあなたの足もとに来てひれ伏させる。こうして彼らは、わたしがあなたを愛していることを知るようになる。10.あなたがわたしの忍耐についての言葉を守ったから、わたしも、地上に住む人々を試みる為に、全世界に臨もうとしている試練の時からあなたを守ろう。11.わたしはすぐに来る。あなたの冠を誰にも奪われないように、あなたの持っているものを、しっかりと保っていなさい。12.勝利する者は、その人をわたしの神の神殿における柱にしよう。彼はもう決して外に出ることはない。わたしは彼の上にわたしの神の名と、わたしの神の都、すなわち、わたしの神のもとから出て、天から下って来る新しいエルサレムの名を、そして、わたしの新しい名を書こう。13.耳のある者は、御霊が諸教会に語ることを聞きなさい』。
14.ラオディキアにある教会の御使いに書きなさい。
『アーメンなる方、忠実で真実な証人、神の創造の根源である方がつぎのように言われる。15.わたしはあなたの業を知っている。すなわち、あなたは冷たくも熱くもない。冷たいか又は熱いかであったら良いのに。16.このように、あなたが熱くも冷たくもなく、なまぬるいので、あなたをわたしの口から吐き出そう。17.あなたは、「わたしは裕福だ、金持だ、もう何もいらない」と言っているが、自分がみじめな者、哀れな者、貧しい者、目の見えない者、裸の者であることに気がついていない。18.わたしはあなたに勧める。富む者となるために、わたしから火で精錬された金を買い、裸の恥をさらさないために身につけるための白い衣を買いなさい。また、見えるようになるために、あなたの両目に塗る目薬を買いなさい。19.わたしは愛する者たちを、叱ったり懲らしめたりする。だから、熱心になって悔い改めなさい。20.見よ、わたしは戸のそばに立ってたたいている。だれでもわたしの声を聞いて戸を開けるなら、わたしはその人のところに入って、その人と共に食事をし、その人もわたしと共に食事をするだろう。21.勝利する者には、わたしの王座にわたしと共に座ることを許そう。わたしも勝利して、わたしの父と共にその王座に座ったのと同じように。22.耳のある者は、御霊が諸教会に語ることを聞きなさい』」。


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●「自然の中で聴く聖書」ヨハネの黙示録 3章


★ γνῶσιν ὅτι ἐγὼ ἠγάπησά σε (9)
「彼らはわたしがあなたを愛したことを知る様になる」  

ここで実際には「愛した」は不定過去が使われている。不定過去の様態は、本来、過去の出来事の一回性を表すが、ここでは「完了」のように、「過去愛して今も愛している」のごとく訳す。  

ἡ ἀρχὴ τῆς κτίσεως τοῦ θεοῦ (14)
「神の創造の根源である方」  

14節は各訳でさまざまに訳されていて、そのため混乱を招いている。その混乱の原因は二つあるように思われる。第一は、τῆς κτίσεως (創造の)という言葉の意味である。これは創造そのものを意味し、この場合創造された個々の創造された物(被造物)を意味しないのではないかということ。つまり創造の業そのものであるということ。第二は、ἡ ἀρχὴ をどう訳すかである。それは黙示録22:13の ἡ ἀρχὴ καὶ τὸ τέλος (わたしは初めであり終わりである)と同じく、新約聖書の中で多くの場合「初め」と訳されることが多いが、その場合、先の(創造)を(被造物)と訳すと、(被造物の初め)となり、キリストがあたかも最初の被造物かのような全く逆の意味となってしまう。ここに混乱の原因がある。ゆえにἡ ἀρχὴは「源」または「根源」と訳さなくてはならない。それは「第一原因」という意味である。ゆえに、14節の意味は「神の創造の根源であられる方」、つまりキリストが創造者であるということである。




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