2013年5月6日月曜日

新約聖書原典「ルカによる福音書」3章の翻訳(私訳)

ルカによる福音書 

3章


1.皇帝ティベリウスの治世の十五年、ポンティオ・ピラトがユダヤの総督、ヘロデがガリラヤの領主、ヘロデの兄弟フィリポがイトラヤとトラコニア地方の領主、リサニアがアビレネの領主、2.アンナとカイアファが大祭司であったとき、神の言葉が荒野でザカリアの子ヨハネに臨んだ。3.そして彼はヨルダン川の辺り一帯に来て、罪の赦しを得させるための悔い改めのバブテスマを宣べ伝えていた。4.預言者イザヤの書にこう書かれているように。
『荒野で叫ぶ者の声がする。
主の道を備えよ、
主の道筋をまっすぐにせよ。
5.すべての谷は埋められ、
すべての山と丘とは低くされるであろう。
曲がった道はまっすぐに、
でこぼこの道は滑らかとなる。
6.すべての肉なる者は、
神の救いを見るであろう。』
7.そこでヨハネは、彼からバプテスマを授けてもらおうと出て来た群衆に言った。「まむしの子らよ、迫りくる怒りから逃れられると誰がお前たちに教えたのか。8.だから、悔い改めにふさわしい実を結べ。『我々には父アブラハムがいる』などと思い始めてもみるな。だからわたしはお前たちに言う。神はこれらの石からでもアブラハムの子供たちを興すことがお出来になるのだ。9.すでに斧が木々の根元に置かれている。だから良い実を結ばない木は全て切り倒されて、火に投げ込まれる」。
10.群衆はヨハネに尋ねて言った。「では、わたしたちは何をすれば良いのでしょうか」。11.そこでヨハネが答えて彼らに言った。「二枚の下着を持っている者は、持たない人に分け与えなさい。食物を持っている者も同じようにしなさい」。12.徴税人たちもバプテスマを受けるためにやって来て、ヨハネに言った。「先生、わたしたちは何をすれば良いのでしょうか」。13.ヨハネは彼らに対して言った。「あなたがたに定められた以上のものを取り立ててはいけない」。14.兵役に服する者たちもヨハネに尋ねて言った。「では、わたしたちも何をすれば良いのですか」。ヨハネは彼らに言った。「誰からもゆすり取ったり、だまし取ったりしてはいけない。自分たちの給料で満足しなさい」。
15.群衆はみな期待して、心の中でヨハネのことを、「もしかしてこの方がキリストではないか」と考えていた。16.ヨハネは答えてみんなに言った。「わたしはあなたがたに水でバプテスマを授けているが、わたしより力のある方が来られる。わたしはその方の履物のひもを解くにも値しない者。その方は聖霊と火とによってあなたがたにバプテスマをお授けになるだろう。17.その方は手にある箕をもってご自分の脱穀場を徹底的にきれいになさり、麦をご自分の倉に集め、もみ殻を燃え尽きることのない火で焼かれるだろう」。
18.ヨハネはこれ以外にも多くの勧めをして、群衆に福音を伝えていた。19.さて、領主ヘロデはヨハネから、自分の兄弟の妻ヘロディアのことで、またヘロデが行ったあらゆる悪事について、その罪を譴責されていたので、20.ヨハネを牢に閉じ込めて、全ての悪事の上にこの悪事をも重ねた。
21.群衆がみなバプテスマを受け、イエスもバプテスマを受けて祈っておられると、天が開け、22.聖霊が鳩のように目に見える形でイエスの上に降り、天から声がした。「あなたはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者」。
23.このイエスが(教えを)始められたのはおよそ三十歳の頃で、ヨセフの子と見なされていた。ヨセフはエリの子、24.エリはマタトの、マタトはレビの、レビはメルキの、メルキはヤンナイの、ヤンナイはヨセフの、25.ヨセフはマタティアの、マタティアはアモスの、アモスはナウムの、ナウムはエスリの、エスリはナガイの、26.ナガイはマハトの、マハトはマタティアの、マタティアはセメインの、セメインはヨセクの、ヨセクはヨダの、27.ヨダはヨハナンの、ヨハナンはレサの、レサはゼルバベルの、ゼルバベルはシャルティエルの、シャルティエルはネリの、28.ネリはメルキの、メルキはアディの、アディはコサムの、コサムはエルマダムの、エルマダムはエルの、29.エルはヨシュアの、ヨシュアはエリエゼルの、エリエゼルはヨリムの、ヨリムはマタトの、マタトはレビの、30.レビはシメオンの、シメオンはユダの、ユダはヨセフの、ヨセフはヨナムの、ヨナムはエリアキムの、31.エリアキムはメレアの、メレアはメンナの、メンナはマタタの、マタタはナタンの、ナタンはダヴィデの、32.ダヴィデはエッサイの、エッサイはオベドの、オベドはボアズの、ボアズはサラの、サラはナアソンの、33.ナアソンは.アミナダブの、アミナダブはアドミンの、アドミンはアルニの、アルニはヘスロムの、ヘスロムはペレツの、ペレツはユダの、34.ユダはヤコブの、ヤコブはイサクの、イサクはアブラハムの、アブラハムはテラの、テラはナホルの、35.ナホルはセルグの、セルグはレウの、レウはペレグの、ペレグはエベルの、エベルはサラの、36.サラはカイナムの、カイナムはアルパクシャドの、アルパクシャドはセムの、セムはノアの、ノアはレメクの、37.レメクはメトシェラの、メトシェラはエノクの、エノクはヤレドの、ヤレドはマハラルエルの、マハラルエルはカイナムの、38.カイナムはエノスの、エノスはセツの、セツはアダムの、アダムは神の子である。



★8節の「父」(πατήρ パテール)は「父祖」とも訳す。

  ἑτοιμάσατε τὴν ὁδὸν κυρίου,εὐθείας ποιεῖτε τὰς τρίβους αὐτοῦ·(4)
「主のを備えよ、主の道筋を真っ直ぐにせよ」4節

上記はイザヤ書40:3~6の引用であるが、最初のὁδὸν(ホドン・道)は一般的な「道」を意味しており、単数(一筋の道)を示しているが、後半のτρίβους(トリブース)は「小道」または比喩的な「進路」「方向」などを意味し複数(数々の小道、進路)で表されている。イエスが歩まれることになるはずの困難で多様な生き方を暗示しているように思われる。




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