2012年5月10日木曜日

新約聖書原典「マタイによる福音書」3章の翻訳(私訳)

マタイによる福音書

3章


1.その頃、バプテスマのヨハネがユダヤの荒野に現れ、叫んで、2.言った。「悔い改めなさい、天の国が近づいたから」。3.これは預言者イザヤを通して言われた人であって、このように言われている。
『荒野で叫ぶ声がする。
主の道を備えよ。
その道筋をまっすぐにせよ。
4.このヨハネは、ラクダの毛衣を着、腰に皮の帯を締め、その食物はいなごと野蜜であった。5.そのとき、エルサレムと全ユダヤとヨルダンの一帯から人々がヨハネのもとに出て来て、6.自分たちの罪を告白し、ヨルダン川でヨハネからバプテスマを受けていた。
7.大勢のファリサイ派の人々や、サドカイ派の人々もヨハネのバプテスマを受けるために来たのを見て、ヨハネは彼らに言った。「まむしの子らよ、来るべき怒りから逃れられると、誰がおまえたちに教えたのか。8.だから悔い改めにふさわしい実を結べ。9.自分たちには父アブラハムがいるなどと思っても見るな。わたしはおまえたちに言う。神はこれらの石からでも、アブラハムの子らを興すことがお出来になるのだ。10.すでに斧が木々の根元に置かれている。だから良い実を結ばない木は全て切り倒されて、火に投げ込まれる。
11.わたしはおまえたちが悔い改めるようにと、水でバプテスマを授けているが、わたしの後に来られる方は、わたしより力のある方で、わたしはその方の履物を脱がせる資格もない者。その方はおまえたちに、聖霊と火でバプテスマをお授けになるだろう。12.その方は、その手にある箕をもって、ご自分の脱穀場を徹底的にきれいになさる。そして、ご自分の麦を倉に集め、もみ殻を燃え尽きる事のない火で焼かれるだろう」。

13.その頃、イエスは、ガリラヤからヨルダン川のヨハネのもとに来られた。彼からバプテスマを受ける為であった。14.しかし、ヨハネはイエスを思いとどまらせようとして言った。「わたしこそ、あなたからバプテスマを受けるべきなのに、あなたがわたしのもとに来られるのですか」。15.しかしイエスは答えて彼に言われた。「今はそうしてもらいたい。このように、全て正しいことを成し遂げるのは、わたしたちにふさわしいことなのだから」。そこで、ヨハネはイエスの言われるとおりにした。16.イエスがバプテスマを受けて水から上がられるとすぐ、見よ、天が[イエスのために]開かれ、神の御霊が鳩のように下って、ご自分の上に現れるのをご覧になられた。17.そして、見よ、天から声がして言った。「これはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者」。


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●「自然の中で聴く聖書」マタイによる福音書 3章

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★ φωνὴ βοῶντος ἐν τῇ ἐρήμῳ·  (3)
  「荒野で叫ぶ声」
  
 βοῶντος     「叫ぶ」は分詞・男性の形を取っていて、叫ぶ人が(男性)であること、つまりヨハネであることを意味している。
 
★ ἤδη δὲ ἡ ἀξίνη πρὸς τὴν ῥίζαν τῶν δένδρων (10)
  「しかし、すでに斧が木々の根元に(置かれている)」
 
10節は緊迫した恐ろしい言葉である。「今まさに斧が…」 τῶν δένδρων (木々/複数形)は人々を意味する表象的表現。故に「すでに斧が人々の足元に置かれている」の意。

★ οὗ τὸ πτύον ἐν τῇ χειρὶ αὐτοῦ καὶ διακαθαριεῖ τὴν ἅλωνα αὐτοῦ (12)
「そのお方の手にある箕で、ご自分の脱穀場を隅々まできれいになさる」

τὸ πτύον  は、脱穀した後のもみ殻を吹き分ける道具。昔の農夫は箕を使ってこの作業をした。上記は終末論的出来事で、神が最終的にこの世界(脱穀場)をお清めになることを表象的に描いている。




 

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