2015年6月2日火曜日

新約聖書原典「使徒たちの働き」25章の翻訳(私訳)


使徒たちの働き 

25章


1.フェストゥスは州(の総督)に着任すると、三日後にカイサリアからエルサレムに上った。2.すると、祭司長たちと、ユダヤ人のおもだった人たちが総督のところに来て、パウロを訴えて、3.彼を、「エルサレムに連れ戻すよう取り計らっていただきたい」と懇願した。彼らは途中で待ち伏せして彼を殺そうと陰謀をたくらんでいたのである。4.そこで、フェストゥスは、「パウロはカイサリアで監禁されていて、自分も急いで戻ろうとしているのだ」と答え、5.「それでは、もし、あの男に何か不都合なことがあるなら、あなたがたの中の有力者たちが一緒に下って来て、彼を告発するがよい」と言った。
6.総督は、八日か十日ほど彼らの間で過ごしてから、カイサリアへ下って行き、翌日、裁判の席に着き、パウロを連れて来るように命じた。7.パウロが現れると、エルサレムから下って来た多くのユダヤ人たちが彼を取り囲み、多くの厳しい罪状を持ち出してはみたが、それらを立証することはできなかった。8.パウロは、「わたしは、ユダヤ人たちの律法に対しても、神殿に対しても、ローマ皇帝に対しても、何も罪を犯してはいません」と弁明した。9.しかし、フェストゥスは、ユダヤ人たちに気に入られようとして、パウロに答えて言った。「お前はエルサレムに上って行って、そこでこれらの件について、わたしの前で裁判を受けたいか」。10.そこでパウロが言った。「わたしは皇帝の法廷に立っているのです。ここでわたしは裁きを受けるべきです。わたしがユダヤ人たちに対して何も悪いことをしていないことは、あなたもよくご存知です。11.そこで、もし、わたしが悪を行い、何か死に価することをしたのであれば、わたしは死を免れようとは思いません。しかし、もし、この人たちが訴えているようなことをしていないのなら、誰もわたしを彼らに引き渡すことはできません。わたしは皇帝に上訴します」。12.その時フェストゥスは、陪審員と相談の上、「お前は、皇帝に上訴したのだから、皇帝のもとに行くように」と答えた。
13.数日が経ち、アグリッパ王とベルニケがフェストゥスを表敬訪問するためカイサリアに下って来た。14.二人は幾日もそこに滞在していたので、フェストゥスは王に、パウロのことについて説明して言った。「フェリクスが囚人として残して行った男がいます。15.彼については、わたしがエルサレムに行ったとき、祭司長たちと、ユダヤ人の長老たちが訴えて来て、罪の宣告を要求したのです。16.彼らには、『その前に、訴えられた人が、その告発について、訴えた人たちの面前で弁明の機会も与えられないで引き渡されるのは、ローマ人の慣習ではない』と答えました。17.それで、彼らは(わたしと)一緒にこの地に来ましたので、わたしは延ばすことなく次の日、裁判の席に着いて、その男を連れて来るように命じました。18.その男について告発人たちは立ち上がりましたが、わたしが予想していた責めを負うべき何の悪も指し示すことができませんでした。19.ところで、彼らがこの男に対して抱いている論点は、彼ら自身の宗教に関することと、パウロが『生きている』と証言しているところの、死んだイエスという者に関することなのです。20.わたしは、これらについてはどう調査してよいか分からないので、彼には、『エルサレムへ行って、そこでこれらの件について裁判を受けたいか』と尋ねました。21.しかし、パウロは皇帝の審判を(受ける)まで自分を(カイサリアに)とどめてほしいと願いましたので、わたしは皇帝のもとに送り届けるまで、彼をとどめておくように命じました」。22.そこで、アグリッパがフェストゥスに、「わたしも、その人の話を聞いてみたい」と言ったので、(フェストゥスは)「では明日、彼から話をお聞きください」と言った。

 23.さて、翌日、アグリッパとベルニケは見せびらかしの装飾を身につけて現れ、千人隊長たちや町のおもだった人々と共に聞き取り所に入り、フェストゥスの命令でパウロが連れて来られた。24.そして、フェストゥスが言った。「アグリッパ王とご列席の方々、この男をご覧ください。ユダヤ人たちの誰もが、もはや生かしておくべきではないと叫んで、エルサレムでもここでも、わたしに告訴しているのはこの男のことです。25.しかし、わたしは、この男には死に当たる行為は何もないことが分かりました。この者は皇帝に上訴しましたので、わたしは(この者を皇帝に)送ることに決めました。26.(しかし、)この者について、主君には確かな事が何も書けません。ですから、あらかじめ、彼をあなたがたの前に、特にアグリッパ王よ、あなたの前に彼を連れて来ました。調査してみれば、わたしが(主君)に書くものが、何か得られるかも知れません。27.囚人を護送するのに、その理由を示さないというのは、理に合わないとわたしには思えるからです」。


●「自然の中で聴く聖書」使徒たちの働き 25章



パウロが囚われの身となったカイサリア。この町でパウロはカイサリア州総督フェリクスとフェストのもと囚人としての日々を過ごした。
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