2012年9月18日火曜日

新約聖書原典「マタイによる福音書」13章の翻訳(私訳)


マタイによる福音書 

13章


1.その日、イエスは家を出て湖のほとりに座っておられた。2.すると、大勢の群衆がイエスのもとに集まって来たので、イエスは舟に乗り込んで座られ、群衆はみな岸辺に立っていた。
3.イエスは彼らに多くの事がらを譬えで語って言われた。「見よ、種をまく人が種まきに出掛けた。4.彼がまいていると、ある種は道端に落ちた。すると鳥たちが来て、それらを食べつくした。5.また別の種は土の少ない石地に落ちた。すぐに芽を出したが、土が深くないので、6.太陽が昇ると焼けて、根がない為に枯れた。7.他の種は茨の地に落ちた。すると茨が伸びてこれらを窒息させた。8.他の種は良い地に落ちて実を結び、あるものは百倍、あるものは六十倍、あるものは三十倍になった。9.耳のある者は聞きなさい」。
10.すると弟子たちが近寄って来てイエスに言った。「どうして譬えで彼らに話されるのですか」。11.そこでイエスは答えて弟子たちに言われた。「あなたがたには天の国の奥義を悟ることが許されているが、この人々には許されていないからである。12.持っている人はだれでも与えられて、ますます豊かになるが、持っていない人はだれでも持っているものまでも彼から取り上げられるだろう。13.わたしが譬えによって彼らに語るのは、彼らが見ても見ず、聞いても聞かず、悟らないからである。14.イザヤが言った預言が彼らに成就するのである。
『彼らは聞くには聞くが、決して理解せず、
見るには見るが、決して悟らない。
15.この民の心は鈍く、
耳も聞くに遠く、彼らの目は閉じてしまった。
目で見ることも、耳で聞くことも、心で悟ることも、立ち返ることも決してしない。
わたしは彼らを癒さない。』
16.しかし、あなたがたの目は幸いだ。なぜなら、あなたがたは見ており、あなたがたの耳も聞いているからである。17.あなたがたによく言っておくが、多くの預言者や義人たちは、あなたがたが見ている事を見ようと望んだが、見ることができなかった。また、あなたがたが聞いている事を聞こうと望んだが、聞くことができなかった。
18.だから、あなたがたは種をまく人の譬えを聞きなさい。19.誰でも御国の言葉を聞いても悟らないなら、悪い者が来て、その人の心にまかれたものを奪い取る。道端にまかれたものとは、こういう人のことである。20.また、石地にまかれたものとは、御言葉を聞くとすぐに喜んでそれを受け入れる人のことである。21.しかし自分の内に根がないので、それは一時的であって、御言葉の為に困難や迫害がやってくると、すぐにつまずいてしまう。22.また、茨の中にまかれたものとは、御言葉を聞くが、この世の心配ごとや富の享楽が御言葉を窒息させ、実を結ばない人のことである。23.また、良い地にまかれたものとは、御言葉を聞いて悟る人のことである。こういう人こそ実を結び、あるものは百倍、あるものは六十倍、あるものは三十倍にもなる」。
24.イエスは、ほかの譬えを彼らに示して言われた。天の御国は良い種を自分の畑にまく人に似ている。25.人々が寝ていると彼らの敵がやって来て、麦の間に毒麦をまいて立ち去った。26.さて、芽が出て実がなると、毒麦も現れた。27.そこで、この家の主人に仕える僕たちが来て言った。「ご主人様、あなたはご自分の畑に良い種をおまきになられたではありませんか。なのに、どうして毒麦が生えたのでしょう」。28.主人は僕たちに言った。「それは敵がやったのだ」。そこで僕たちが主人に言った。「では行って、毒麦を抜き集めましょうか」。29.しかし主人は言った。「それはいけない。毒麦を抜き集めようとして、ひょっとすると麦までも一緒に抜くかもしれない。30.収穫まで両方とも育つままにさせなさい。収穫の時、刈る者たちに『最初に毒麦を抜き集めて、それらを焼却するため束にして縛り、麦はわたしの倉に集めなさい』と言うことにしよう」。
31.イエスは、ほかの譬えを彼らに示して言われた。「天の御国はからし種の粒に似ている。人がそれを取って自分の畑にまくと、32.それはあらゆる種の中で一番小さいが、成長すると野菜の中で最も大きくなって木となる。そうなると空の鳥たちが来て、それらの枝に巣を作るようになる」。
33.またほかの譬えを彼らに話された。「天の御国はパン種に似ている。女がそれを取って三サトン《約38リットル》の麦粉に混ぜると、やがて全体をふくらませる」。34.イエスはこれらのことを全て譬えで群衆に話された。譬えによらないでは、何も彼らにお話しにならなかった。35.これは、預言者を通して言われたことが成就されるためで、こう言われている。
『わたしは、わたしの口を開き、譬えによって、
[世界の]始めから隠されていたことを述べるであろう。』
36.イエスは群衆を解散させてから家に入られると、弟子たちがイエスに近寄って来て、「わたしたちに畑の毒麦の譬えを説明してください」と言った。37.そこでイエスは答えて言われた。「良い種をまく人とは、人の子のことである。38.畑とは世界である。良い種とは御国の子たちで、毒麦とは悪い者の子たちである。39.また、これら(毒麦)をまいた敵とは悪魔である。また、収穫とはこの世の終りのことで、刈る者たちとは天使たちである。40.だから、毒麦は集められて火で焼き尽くされる。世の終りに於いても、ちょうどそれと同じである。41.人の子は彼の天使たちを遣わし、彼の御国から全てのつまずきとなるもの、不法を行う者たちを集め、42.『彼らを火の燃える炉に投げ込ませる』。そこで泣き叫んだり、歯ぎしりしたりするだろう。43.その時、正しい者たちは、彼らの父の御国で太陽のように輝くだろう。耳のある者は聞きなさい。
44.天の御国は、畑に隠された宝物に似ている。人がそれを見つけると隠しておき、その喜びのあまり行って持ち物をみな売り払い、その畑を買うのである。
45.また、天の御国は、良い真珠を探している商人に似ている。46.高価な真珠一個を見つけると、彼は行って持ち物をみな売り払い、それを買うのである。
47.また、天の御国は、海に投げて、あらゆる種類の魚を集める引き網に似ている。48.網がいっぱいになると、人々はそれを岸に引き揚げ、腰をおろし、良い魚は器に集め、役に立たない魚は外に捨てる。49.世の終りもこれと同じである。天使たちが出て来て、正しい人たちの中から悪い者たちをより分け、50.『彼らを火の燃える炉に投げ込むだろう』。そこで泣き叫んだり、歯ぎしりしたりするだろう。
51.あなたがたは、これらのことが全てわかったか」。彼らはイエスに、「わかりました」と言った。52.イエスは彼らに言われた。「だから、天の御国の弟子とされた学徒はみな、自分の倉から新しいものと古いものを取り出す家の主人に似ている」。
53.イエスはこれらの譬えを話し終え、そこから立ち去られた。54.そして、ご自分の故郷に行かれ、彼らの会堂で教え始められた。すると人々は驚いて言った。「この人はこの知恵と数々の力をどこで得たのだろう。55.これは大工の息子ではないか。彼の母はマリアと言い、彼の兄弟たちはヤコブ、ヨセフ、シモン、ユダではないか。56また、彼の姉妹たちは皆わたしたちのもとにいるではないか。なのに、この人は全てこれらのことをどこで得たのだろうか」。57こうして人々はイエスにつまずいていた。しかしイエスは彼らに言われた。「預言者は、自分の故郷と家以外では軽んじられたことはない」。58イエスは彼らが不信仰なため、そこでは多くの力あるわざを行われなかった。

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●「自然の中で聴く聖書」マタイによる福音書  13章




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