2010年10月11日月曜日

新約聖書原典「ヨハネによる福音書」18章の翻訳(私訳)

ヨハネによる福音書 

18章


1.こう言い終えると、イエスはご自分の弟子たちと一緒に、キドロンの谷の向こう側へ出て行かれた。そこには園があり、イエスと弟子たちはそこへ入って行った。
2.しかし、イエスを引き渡そうとしているユダもその場所を知っていた。なぜならイエスはご自分の弟子たちと共に、度々そこに集まっておられたからである。3.そこでユダは、一隊の兵卒たちと祭司長たち、ファリサイ派の人々から遣わされた下役たちを引き連れ、たいまつやともし火、武器などを持ってそこへやってきた。4.するとイエスは、ご自分に起ころうとしていることをすべて悟って、進み出て彼らに言われた。「誰を捜しているのか」。5.彼らはイエスに答えた。「ナザレのイエスを」。イエスは彼らに言われた。「このわたしがそれである」。イエスを引き渡そうとしているユダも彼らと一緒に立っていた。6.「わたしがそれである」とイエスが言われたので、彼らは後ろに退き地面に倒れた。7.すると再びイエスは彼らに尋ねられた。「誰を捜しているのか」。彼らが言った。「ナザレのイエスを」。8.イエスは答えて彼らに、「わたしがそれである。あなたがたがわたしを捜しているのなら、この人たちが去るのを見逃してあげなさい」と言われた。9.これは、「あなたがわたしに与えてくださった人たちの誰をも、わたしは失いませんでした」とイエスが言われた言葉が成就するためである。10.すると、シモン・ペトロは剣を持っていたので、それを抜いて、大祭司の僕に切りつけ、その右の耳を切り落とした。その僕の名はマルコスであった。11.するとイエスはペトロに言われた。「剣をさやに納めなさい。父がわたしに与えてくださった杯は、これを飲まずにいられようか」。
12.そこで、兵卒たちと千人隊長およびユダヤ人の下役たちはイエスを捕らえて縛り、13.初めにアンナスのところへ連れて行った。なぜなら、彼はその年の大祭司であったカイアファのしゅうとであったからである。14.「一人の人間が民のために死ぬことは有益だ」と、ユダヤ人たちに助言したのは、このカイアファであった。
15.さて、シモン・ペトロと、もう一人の弟子がイエスについてきていた。この弟子は大祭司の知り合いだったので、イエスと一緒に大祭司の中庭に入って行ったが、16.ペトロは、外で門のそばに立っていた。そこで、大祭司の知り合いである、このもう一人の弟子が出てきて、門番の女に言ってペトロを中に入れさせた。17.すると、若い門番の女がペトロに言った。「あなたも、あの人の弟子たちの仲間ではないですか」。彼は言った。「そうではない」。18.寒かったので、僕たちや下役たちは炭火をおこし、立って暖を取っていた。ペトロも彼らと一緒にいて、立って火にあたっていた。
19.さて、大祭司がイエスに、彼の弟子達のことや、その教えについて尋ねた。20.イエスは彼に答えられた。「わたしは公然と世に語ってきた。わたしはいつも、会堂やユダヤ人たちがみな集まる神殿で教えてきた。隠れて語ったことは何もない。21.なぜわたしに尋ねるのか。わたしが何を彼らに語ったかは、それを聞いた人々に尋ねなさい。見よ、わたしの言ったことは、その人たちが知っている」。22.イエスがこう言われると、そばに立っていた下役の一人が「大祭司に対してそのような返答があるか」と言って、イエスを平手で打った。23.イエスは彼に答えられた。「もしわたしが悪いことを言ったのなら、その悪いことを証明しなさい。しかし、もし正しいことを言ったのなら、なぜわたしを打つのか」。24.そこでアンナスは、イエスを縛ったまま大祭司カイアファのところに送った。
25.シモン・ペトロは立って火にあたっていた。すると人々が彼に言った。「あなたも彼の弟子ではないのか」。ペトロはそれを打ち消して言った。「そうではない」。26.大祭司の僕たちの中の一人で、ペトロが片耳を切り落とした人の親戚の者が言った。「あなたが園で彼と一緒にいたのを、わたしは見たではないか」。27.ペトロが再び打ち消した。するとすぐ、鶏が鳴いた。
28.さて、人々はイエスをカイアファの所から総督の官邸に連れて行った。明け方のことであった。彼らは官邸には入らなかった。それは、汚れなく過越の食事をするためであった。29.そこでピラトは外にいる彼らの所に出て来て言った。「この人に対して、あなたがたはどんな訴えを起こすのか」。30.彼らは答えてピラトに言った。「もしこの男が悪事をしていないのなら、我々は彼をあなたに引き渡したりはしません」。31.するとピラトが彼らに言った。「あなたがたが彼を引き取って、自分たちの律法によって彼を裁くがよい」。ユダヤ人たちはピラトに言った。「わたしたちには誰をも殺すことは許されていない」。32.こう言ったのは、ご自分がどんな死に方をされようとしているかを知らせるために言われたイエスの言葉が成就されるためである。
33.そこでピラトは再び官邸の中に入って行き、イエスを呼んで言った。「あなたはユダヤ人たちの王なのか」。34.イエスは答えられた。「あなたは自分からそう言うのですか、それとも、他の人たちがわたしについて、あなたにそう言ったのですか」。35.ピラトが答えた。「わたしはユダヤ人だろうか。あなたの民と祭司長たちが、わたしにあなたを引き渡したのだ。あなたは何をしたのか」。36.イエスは答えられた。「わたしの国はこの世のものではない。もし、わたしの国がこの世のものであったなら、わたしに仕える者たちが、わたしがユダヤ人たちに引き渡されないように闘ったことだろう。しかし今や、わたしの国はこの世のものではない」。37.するとピラトがイエスに言った。「では、あなたは王なのだな」。イエスは答えられた。「あなたが言うとおり、わたしは王である。わたしは真理について証しするために生まれ、そのために世に来た。真理から生まれる者は皆、わたしの声を聞く」。38.ピラトがイエスに言った。「真理とは何か」。

こう言ってピラトは再びユダヤ人たちの所に出て行って、彼らに言った。「わたしは彼の内に何の過ちも見出せない。39.ところで過越祭には、わたしがあなたがたに誰か一人を赦してやる習慣がある。そこで、あのユダヤ人たちの王を赦してやってはどうか」。40.すると彼らは再び叫んで「この男ではなく、バラバのほうを」と言った。しかし、バラバは強盗であった。

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●「自然の中で聴く聖書」ヨハネによる福音書 18章



★「ペトロはそれを否定して」(25) 

   「それ」は「その方(イエス)」とも読める言葉である。
 「ペトロはその方を否定して」

 

 



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