2010年1月30日土曜日

ギリシア語新約聖書原典の翻訳

ギリシヤ語新約聖書の翻訳

2010年1月からギリシャ語新約聖書の翻訳を開始しました。私は新約聖書ギリシャ語(コイネー)を50年ほど前に、神学校で2年ほど学んだあと、ほとんどそれから遠ざかっていましたが、再び勉強を始め、別の二つの神学校でギリシア語と新約聖書原典を学びました。新約聖書を原典で読みたいという昔からの夢を実現したかったからです。この勉強は毎日この言葉や文法にふれていないと、すぐに忘れてしまいます。ですから、それ以来、毎日ギリシア語に触れない日はないくらいに、文法や原典に触れてきました。そのおかげで、今日ではギリシャ語新約聖書原典を辞書を片手にですが比較的容易に読めるようになりました。そして2010年から新約聖書のヨハネによる福音書から新約聖書の私訳を始めました。ギリシャ語底本はネストレ=アーラント28版を使用しています。訳文の中には読んでいて不自然に感じられる訳も現れると思いますが、できる限り原典に忠実に訳すことを試みているため、日本語としての限界を感じながら訳しています。聖書翻訳の困難さは言葉の問題だけではなく、文化や慣習の違いにあります。2千年も前に書かれた聖書の時代の歴史的文化的背景や生活上の慣習、言葉の持つ本来の意味に現代と大きな違いがあるわけです。一つの言葉(名詞)の持つ意味に多面的な広がりがあり、その中から一つに絞って意味を特定するという作業が延々と続くわけです。動詞の時制は特に重要で、例えば過去と完了形の違いを正しく訳す必要があります。聖書翻訳とは、単に言葉の置き換えではなく、解釈である、という立場に立って行われる作業ですから、聖書翻訳には翻訳者の意見がある程度翻訳に反映されることになります。ですから一つの聖書翻訳をもってこの聖書だけを是とするのはいささか行き過ぎでしょう。その意味からもキリスト者は数種類の聖書を持って読むのが妥当だと思います。このブログに掲載されているわたしの翻訳も例外ではなく、読者は、これも一つの読み方なんだということをわきまえながら読んでいただければ幸いです。ブログを読まれる読者の方々、また新約聖書ギリシャ語を現在勉強中の方、また専門家の先生方のご意見、ご感想もお寄せいただければ幸いに思います。ー前田滋彦・2016.3月。


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